%e5%ae%8c%e6%88%90_8973

TPPが日常を変える? - 二次創作、薬、化粧品、みんな大好きお肉まで

文: POST編集部:今村幸子

TPPに参加する国々-とくに日本とアメリカ

さっき、参加する予定の国は12カ国だと言いました。もう一度、どんな国が参加するのか見てみましょう。

オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、米国、ベトナム

このなかで超重要国が二つあります。それは、日本とアメリカです。

TPPの発効要件、つまりTPPがスタートするための条件をみると、この二つがあることに気づきます。

・6カ国以上が批准していて、
・TPP域内の国内総生産(GDP)の合計が85%以上を占めている

どういうこっちゃ、って話ですよね。実はそんなに難しい話ではありません。

【TPPでこう変わる】(9)発効条件と見通し 批准手続き難航も – 産経ニュース
http://www.sankei.com/economy/news/151030/ecn1510300064-n1.html

GDPでいうとアメリカは60%、日本は18%ほどを占めています。つまり、日本とアメリカ、どちらかが「やーめた」となった瞬間に、TPPは発効できないんです。

つまりTPPを発効したがっているオバマ政権にとっては、日本が非常に重要な存在になるんですね。何せ、アメリカにとっても日本がいなければTPPは発効できないわけですから。互いが互いを必要としているわけで、日米関係のためにこそTPP、と言っても、あながち嘘ではなかったわけです。

が、しかし。いま、大きな話題となっているアメリカ大統領選。そのアメリカの大統領候補のドナルド・トランプ氏とヒラリー・クリントン氏は、なんと二人とも反対しているんです。

http://sealdspost.com/archives/4660
http://sealdspost.com/archives/4740

つまり、日本がどう頑張ってもTPPは実現しない可能性が高いのが現状である、ということです。どうやらまだオバマが諦めていないという噂もあり、両大統領候補が反対しているからといってTPPの発効はありえない、とは言い切れません。しかし、日本国内におけるTPP採決に関する大きな正当性の根拠は紛れもなく削られていることは間違いありません。

政府には、明確な説明と時間をかけた熟慮が求められるはずです。

関税ってそもそも何だろう

そもそも、関税って、何でしょう? ここではさらっと解説します。

たとえば、日本にアメリカの製品Aが入ってくるとします。アメリカはAをたくさん生産していて、価格も安いです。

そのアメリカ価格のまま、日本に大量のアメリカ製品Aが入ってくるとします。そうすると、日本で似たような製品を生産している工場などが、競争に負けてしまいかねません。なぜなら日本では、アメリカに比べて、その製品Aを生産するのにコストがかかるからです。値段が高くなり、より安いアメリカ製品Aに負けてしまい、国内産業に大きなダメージが出ていまいかねません。

そこで関税の出番です。アメリカの製品Aが日本に入ってくるときに、税金をかけます。アメリカの製品Aの値段を税金分高くします。そうすると、

①値段が高くなるので需要が減ります。
②そのうえで、需要が減るため、輸出量が減ります。

これらのことによって、価格競争に際して、日本の類似製品の生存可能性がぐっと高まります。関税を設定することによって、自国の産業を守ることができるのです。このことは当然、人々の雇用の保障にもつながります。

さて、見て明らかなように、関税は、輸出をする人にとっては紛れもなく「障壁」になります。だって、せっかく作って輸出する製品が、国境をまたぐと高くなっちゃうんですから。本当はたくさん輸出したいのに、それができない。関税は自分にとっては非常に重要でも、相手にとっては厄介なシロモノです。

その関税を取っ払おう!という流れが、ものすごくざっくり言うと、「自由化」と呼ばれる潮流だと言えるでしょう。そしてTPPは、12カ国のなかでそれを行おうというものです。そして、取っ払おうとするもののなかには、関税のみならず非関税障壁も含まれています。

なんにせよ、TPPは今週採決されると言われています。

審議が足りているのか、足りていないのかもよくわからないTPP。それでも、私たちの生活に大きな影響が与えることが予想される内容であることに変わりはありません。

今後の政治を注視する必要がありそうですね。

Page 2
前へ次へ

BOOK'S SELECTION