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【アメリカ大統領選】民主党のヒラリー候補の演説を見に行ってみた。

文: 山本雅昭・ポスト編集部

相変わらず、寿司屋で働きつつ、傍で選挙ウォッチをしております山本です。
この間、ヒラリーがアイオワに演説しにきました~
ので、ちょっとその雰囲気をおすそ分けしようと思います~

会場の雰囲気とか

今回の演説会場は外!!

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なんだか雰囲気も明るい感じ。この兄ちゃんに写真を撮りたいって言ったら快く応じてくれました。「本当はヒラリーシューズもあったんだけど、忘れてしまったよ!オーマイゴッド!」と言われました。そんなのがあるのね・・・

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天気やロケーションも良く、黒人やラテン系、ヒスパニック系、アジア人も多く、個人的にはトランプの演説会場よりもこっちの方が居心地が良かったです。なんかフェスっぽいですね。

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ヒラリーのスピーチは?

ヒラリー氏のスピーチ内容について。今回は携帯の録音が正常に機能したので(前回のトランプさんの演説ではうまく録音できなかった涙)、全スピーチ翻訳しました。2ページに載っています。時間があればご覧ください~。(いくらか意訳をしていますが、そちらはご了承ください。)

とりあえずここでは、印象的だったものをここで紹介していきますね。

最初に、ルーリンさんというアイオワに住んでいる103歳のおばあさんの紹介から入り、彼女が生まれた年に女性の参政権がなかったことや、その彼女が支持してくれることを嬉しく思うというところから始まりました。話の導入・市民の惹きつけ方がうまいですね。

その日は第一回目の討論会の直後ということもあって、トランプ氏の討論会での発言や姿勢を意識した内容でスピーチが構成されていました。例えば、20年間、トランプ氏の所得税が納税されていないという疑惑に対して、トランプ氏はそれはむしろスマートな選択だと反論していました。ヒラリー氏はそのことに対して、納税を通してアメリカに貢献できていない、大統領になる適切な方とは思えないと、批判してました。

また、トランプ氏は大減税を行い、大手企業や中小企業の経済を潤し、トリクルダウンを起こすと断言。それに対して、ヒラリー氏は自分の所得税を納税しないようなシステムを作ろうとしていると批判。さらに、「地球温暖化は中国がでっち上げたものだ」とトランプ氏が発言したことに対し、ヒラリー氏は、皮肉を込めて、「私は科学を信じます」と彼の発言を否定し、会場を沸かせていました。再生可能な自然エネルギーを継続的に導入し、そこに雇用を作り、経済を潤すとも言ってましたね。

その他にも、いくつかのイシューについて言及していました。

個人経営者の支援について。彼女の父親が織物の印刷屋を営んでいたという話から、個人経営者からの共感を集めようとしていました。これまで、こういった層の支持は、共和党が集めていましたが、今回、ヒラリー氏はこの層を狙っているようにも思えました。

男女同一賃金。”Equal pay for women’s work” これはもう民主党の決まり文句のように、よく言われていますね。先進国アメリカでも、全国で女性の賃金は平均で男性の8割程度という調査も出ており、女性候補者であるヒラリーとしては、ここは外せないところですね。ただし、スピーチでは、あまり多く語りません。「当然」といった認識が、全国的に浸透している印象でした。

富裕層への課税。元候補者であったバーニー・サンダース氏がよく言っていたことですよね。一部の富裕層のためだけではない、多くの市民のための経済。民主党では、当たり前になったこのフレーズ。当然、ヒラリーも言っています。トランプとは真逆で、一部の富裕層への課税を行い、そこから財源を引っ張ろうという感じですね。しかし、どこからどこまでの富裕層なのかスピーチの中では語られませんでした。

授業料無償化について。この演説会の数日前にヒラリー氏はサンダース氏と対談をして、いくつかの彼の政策を反映させました。その一つがこれです。年収125000ドル(約1266万円)以下の家族は、大学を無償で受けられるようにするというものです。素晴らしい提案ですが、ちょっと非現実的に思える内容。これが実現したら、夢のようですよね。

参加者の話を聞いてみた

ここで、インタビューを二つ紹介します~

●アイオワ州ドレイク大学の学生カップル

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なんでヒラリーを支持するのですか?
dokkyo

彼女は革新的な政策を持っているし、トランプがもっているような人種差別や性差別を沈め、人権の進歩を行うタイミングだと思うから。(男性)

なによりも彼女が一番大統領になるための経験・資格をもっていると思うから。(女性)

なぜ、トランプはここまでの支持を集めていると思いますか?
dokkyo

未だ、アメリカでは差別主義的な思想をもっている人が残っていて、彼らにとって、トランプは声をあげない彼らの代わりに表に立ってくれているという風にとらえているのかもしれない。(男性)

私も同じ意見で、差別主義者は彼らの居場所をトランプが作ってくれると信じているのだと思う。私はとても賛同できないけど。(女性)

ヒラリーキャンペーンのボランティアをしたことはありますか?
dokkyo

正確にいうと、僕はスタッフを務めていて、主に電話掛けや、戸別訪問、不在者投票のサポートをしているよ。(男性)
まだ、ボランティアに参加したことはないけど、演説会には来るよ。(女性)

友人に選挙の話をするのってすこし気まずくないですか?
dokkyo
私たちの大学は、様々なタイプの人がいて、共和党員でトランプを支持する人もいるから、「ヒラリーは嘘つきだ」とか決めつけられないように、工夫して話すようにしてるかな。(女性)

ヒラリーのネガティブなイメージに対してどのように思いますか?
dokkyo
おそらく、それは男性がもつ潜在意識的な性差別から来ていると思う。権力を持つ女性を批判するっていうのは、男性の政治家で良くみかけるよね。でも、それは彼女が認められることによって、変わるだろうし、女性によるリーダーシップによって生まれる魅力をそのうちみんな学ぶと思う。(男性)
同感だわ。私が本当に嫌気がさすのが、トランプの不誠実さで、たった5分前に言ったことを言ってないって嘘をついて、言い訳にヒラリーが過去に行った不祥事を引っ張って、自分は悪くないって顔するところ。本当に嫌だ。(女性)

面白いですよね。やはり、彼の差別的な発言が印象的なのですね。一方で、トランプサイドからは、彼の差別的な発言を賞賛するような意見は聞かれなかったです。ほとんどは、彼が経済を立て直してくれることに期待しているという印象。

●労働組合”LiUNA – the Laborer’s International Union of North America” 「北米労働国際連合」 のスポークスマン
1903年に創立された建設会社と公務員の労働組合で150万人の組合員がいるそうです。
こちらがHP↓


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党派性のある組合なのですか?
dokkyo
基本的には、どの党にも属さない超党派です。選挙の度に、候補者を調査し、誠実に労働者の権利と向き合う候補者を選び、支持を表明しています。しかし、正直に言うと、10回に9回は民主党の候補者が選ばれますし、今回もヒラリー氏を選びました。

バーニー・サンダース氏をサポートしたことはありますか?
dokkyo
いくつかのメンバーはサンダース氏を好意的に受け止めていましたね。しかし、組織としては、ヒラリー氏を支持していますし、過去にサンダース氏を支持していた人も、今は徐々にヒラリー氏に共感をもっているという感じですね。

なぜ、トランプはここまでの支持を集めていると思いますか?
dokkyo
トランプを支持している人たちは、何かしらの「怒り」をもった人たちのように思えます。その怒りがどこから来ているのかを説明をするとキリがないですね。ただ、トランプの言っていることはとてもあいまいですし、丁寧に彼の文脈を追っていけば、トランプが彼の支持者をサポートするような政治を行わないと気付くことができると思います。トランプに解決を求めるような問題は、しっかりとヒラリー氏の政策を見れば、彼ではなく、彼女に求めるべき問題だと気付き、彼らはヒラリー氏の支持に回ると私は思います。

ヒラリーキャンペーンのボランティアはしたことがありますか?
dokkyo
もちろんです。むしろ、私たちの組織は責任を持って、組合員を積極的にヒラリーキャンペーンに参加するように促しています。

家族や友人に選挙の話をしたことはありますか?
dokkyo
それはもう当然です。私の母は共和党員ですが、人生で初めて民主党に投票します。彼女はヒラリー氏の大ファンですので。また、僕の周りの友人や家族も同様、ヒラリー氏を支持していますし、それだけでなく、彼らは多くの人々に声をかけて、この輪を広げる努力しています。

ヒラリーのネガティブなイメージに対してどのように思いますか?
dokkyo
彼女がうそつきだとか、そのような見方をする方はいますが、実際は、彼らのほとんどは政治に向き合ったことがない。私が幼少期の頃からヒラリー氏のことは知っていますが、彼女が元大統領であるビル・クリントン氏と結婚してからというもの、彼女は常に公に晒されるような人生を送ってきています。1990年代、ビル・クリントン氏が活躍していた頃、みんなヒラリー氏がどれだけ頭脳明晰で子供たちを助けようとする野心の溢れた女性かを知っていたし、彼女のネガティブなイメージは、その彼女の才能に恐れた相手側(共和党)から作られたものだと思います。

彼女のe-mailの問題についてはどう思われますか?
dokkyo
もうそれは2年前の話で、あまりこれ以上、気にするのも厄介というか、こころにもとめないですね。彼女はで国務長官、オバマ大統領の元で働き、当時から次期大統領として見られていました。そのような立場の人間が昨日の討論会で自分の非を認めたのです。多くの人が、彼女の姿勢に対して尊敬をしたと思いますし、自分の非を認め、同じ過ちを繰り返さないような政治家はあまり見ないでしょう。彼女が選択した行動は、我々市民のために行われたもので、彼女はこれからもずっとそうあり続けると私は知っています。

他の組合も見ないといけないですが、ここの組合は、日本と違って党には属していないのですね。候補者が、彼らの支持を集めるために政策を作っているということは、言い換えれば、このような組合は相当な影響力とパワーを持っているってことですよね。

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まとめ

ヒラリー氏のスピーチは希望あふれるものというか、トランプ氏のスピーチと比べて前向きなメッセージ、アメリカを前進させようとする感じが伝わってきました。

そして、スピーチの構成が丁寧ですね。最初に登場した103歳のおばあさん、自分の両親、子供、孫の話、すべてを彼女の政策に関連させていて、彼女のスピーチに説得力を生んでいましたね。自分が中産階級の出自であることを強調し、トランプ氏と自分を対照的に魅せている印象でした。

あと、個人的にこっちの演説会の方が楽しかったですね〜。アイオワの大学生が候補者に対して、あんなに希望を持って話しているのがどこか羨ましかったです。笑。

↓会場の様子を動画で収めたので、よかったらみてください~。

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