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【アメリカ大統領選】民主党のヒラリー候補の演説を見に行ってみた。

文: 山本雅昭・ポスト編集部

ヒラリーの演説 アイオワにて9月27日

ルーリン・ステイニンジャーは御歳103歳。彼女が生まれた1913年、女性には参政権がありませんでした。今日は期日前投票開始日、彼女は先ほど、私に投票すると伝えてくれました。こんなに名誉なことはありません。大変嬉しく思います。

アイオワでは、洪水が大きな社会問題となっています。私は大統領となり、この洪水を防止するためのインフラを必ず整えます。

ニュージャージー州で起きた電車の追突事故。私は大きな不安を感じました。多くの方がニュージャージー州から電車で通勤するのです。ニューヨークに住んでいたこともあり、ニュージャージーは私にとってとても近い街です。本当に残念に思います。

今日からアイオワでは、期日前投票がスタートします。私の友人のパーカーが、本日最初の投票者でした。大変嬉しく思います。あと40日残されています。この40日が、今後40年のアメリカを決めることになります。一人一人が未来を変えることができる。何人の人がコーカス(予備選挙)に参加しましたか?(歓声) こんなにもたくさんの、行動的な市民がいる。投票をする用意は整いましたか? この集会のあと、ここにいるスタッフやボランティアが投票所まで案内してくれます。ここアイオワで、勝利への階段をみんなで作っていきましょう。

月曜日の討論会はみなさんご覧になりましたか?(すごい歓声) 三回のうち、一つが終わりました。一つ言いたいのは、あれは大変不思議な体験であったということです。前向きな話し合いは少ししか行われませんでした。誰かを責めたり反対するのではなく、私は建設的な議論を行いたい。ここで改めて確認したいのは、このキャンペーンは私たちの子どもや家族のために戦うことであり、これまで私がずっとやってきたことであり、それは私の大統領としての任務となるということです。私は、これまでの経験から知っています―強い(ストロング)家族が強い(ストロング)アメリカを築くのだということを。そして、国民に必要なツールを提供し、彼らの才能が際限なく発揮されるようにすることがいかに重要であるかを。

私はとても幸運でした。私の父は海軍の退役軍人であり、小さな起業家でもありました。彼は大変な努力家で、安定した生活を送るための資金をしっかりと作っていた中所得者でした。彼は本当に働き者です。私は幼い頃に時折、彼の運営している印刷工場に行っていました。生地に印刷を施す作業。あまり大きいとは言えない工場。窓もない。中には2つの長い机。織物を広げ、シルクスクリーンを手に取る。皆さんは、昔のシルクスクリーンを見たことがありますか? ちょうど、ここから歩いてしばらくのところに素敵なTシャツ屋がありますよね。(歓声) そこでは、未だに昔の手法と同じかたちでシルクスクリーンを使っています。

こうやって、私は仕事とは何かを学んだのです。ベストを尽くす。契約書や合意書に記入する。お客様があなたの商品やサービスを注文し、それを支払う。そうですよね? この間の討論会で私が言及したことですが、―これはトランプの選挙キャンペーナーの言葉です―「ドナルド・トランプは弱者を搾取し、多くのビジネスを展開してきた」。労働者へ不当な契約を作り、そしてその契約すらを無視してきた。その犠牲者となった方々を私は目の当たりにしました。私の父がそのような経営者と仕事を一緒にする、あるいは契約を結ばなくて本当に良かった。だって、どうやって生きろって言うのですか? 働いたのに給料を貰えないないなんて、そんなの間違っている。どういう人間がそんなことをするんですか。弱者を利用するなんて。そういった人間関係がアメリカで築き上げられているのが信じらないし、そのような未来をアメリカに築き上げられてはなりません。

私の母は、両親に見捨てられ、祖父母に預けられ、歓迎されるわけでもなく、本当に孤独な幼少期を送っていました。そんな彼女に人生の転機が訪れました。母がアルバイトでベビーシッターをしている時、その時間外であれば高校に行っても良いとされたのです。14歳の子どもということを考えれば、あまり聞こえのいい話ではないかもしれません。しかし、母にとってそれは最高のチャンスだったのです。彼女は4年間、高校に行き、アルバイトに間に合うために何度も走ったそうです。なぜ母はそこまでしたのか。それは彼女が欲していたからです。とにかく学校に行きたかったのです。

そこから私は何を学んだか。自分がどうしてもしたいことは何かということです。それは、子ども達とその家族を守るということでした。両親がいない、家を持たない子ども達を、私は守りたい。だから、私は児童擁護基金を募る団体に勤めました。すぐ分かったことは、当時、身体や精神に何かしらのハンディを持っている子ども達が、公共の学校に通えなかったということでした。私は、彼ら彼女らが公的教育を受けられるよう法律を作り、それを国会に通すために尽力しました。そして、それを勝ち取ることができたのです。改めて、共に闘ったアイオワの前上院議員、トム・ハーケン氏に感謝の言葉を贈りたいと思います。子ども達やその家族のために闘うこと。それが私の任務なのです。

ここで、経済の話をしたいと思います。大事な点は3つあります。一つ、一部の人たちのためだけではない、みんなのための経済を作ること。二つ、国を安全に保つ、三つ、強く安定したリーターシップで世界を導かなくてはならない。そうやって一丸となって、この国を潤さなくてはならない。

私たちは当然、収入の良い、新しい仕事がほしいと願います。(ヒラリーを支持している労働組合のメンバーを指差して)ここには、私の親しい友人たちがいます。私たちに雇用をもたらすために、新しく橋を、道路を、空港を、トンネルを、水路や、ソーラーを建設していかなくてはなりません。アメリカにとって、これは重要で名誉のある仕事です。私たちは、両親や祖父母、さらには、ひいおばあちゃん、ひいおじいちゃんの投資の上でこうやって生活をできています。

このアイオワでのキャンペーンを通して、私は多くの発展に触れることができました。アイオワのコミュニティー・コレッジは素晴らしい学習システムをもつ誇るべきものです。そして、高校では、専門的な技術を学んだ多くの生徒が卒業してそのまま職についています。これは全国で展開されるべきものでしょう。今までの「職業教育」”vocational education”は間違っていました。この高校のように、「技能教育」(technical education)をもう一度発展させていきたいと考えております。(注:職業教育はその職に特化した教育。技能教育は、職業を選択する前提となる技術を幅広く学習することに特化した教育)

もう一つ、このアイオワで見習うべき発展があります。それは、自然の再生可能エネルギーを用いた技術力です。風力発電は多くのエネルギー供給に成功しています。また、多くの雇用が生まれました。再生可能燃料基準(RFS)が導入されたことによって、次なる再生可能エネルギーを生む革新的な研究が行われています。「地球温暖化は中国がでっちあげたものだ」なんて言う方の気が知れません(トランプのことを指している)(会場笑)。何が本当か私にはわかります。私は科学を信じていますからね。(会場笑)。この地球温暖化を私たちの責任とし、それを解決し、そしてそれをチャンスに変え、新しい雇用・技術を生み、若い世代がそれを担い、引っ張っていける社会を、現実的に私たちは作っていくことができます。もちろん、個人経営者の方々も支援します。もっと簡易に、かつ自由に経済活動ができるように。みんながその運命を自分の手に収められるように。私は、同じく個人経営者であった父の名誉のもと、第1級の個人経営者のための大統領になることを誓います。

経済発展に向けて大事なのは、どうのように公平・平等な成長を達成するかです。それにあたっていくつか実行したいことがあります。私は最低賃金のなかフルタイムで勤める多くの労働者を見てきました。彼らの多くの平均年収は15000ドル(約152万円、日本の平均年収は408万円)です。一年を通してフルタイムで働いているのに、貧困という状況がある。こんなことがあってはなりません。全国レベルで最低賃金を上げましょう。そして私は、ようやくこれを約束することができます。男女同一賃金の実現です。そして他にも、会社の利益をしっかりと被雇用者に分配させます。経営幹部に全ての利益がいくのではなく、それに貢献をしている全ての従業員に利益が分配されるようにします。私のサポーターの一人であるマーク・キューバンは偉大な億万長者と言っていいでしょう。彼は私が今言った利益分配を実際に行いました。彼は自分の従業員300人に利益を還元し、従業員を豊かにしたのです。

家族単位での経済の話をさせてください。まず育児について、2000年から2012年にかけて、保育費が25%も上がりました。収入のほとんどが保育費に充てられてしまう。連邦政府による投資を増やし、保育費控除を実施いたします。今後、どんなに多くても10%まで税負担を下げます。子どもをもたない方には実感が湧かないかもしれません。しかし保育費は、実は公立の大学の授業料よりも高く、多くの家族がそれにストレスを抱えているのです。次に、家族援護手当を全国レベルで実施します。孫が生まれた時、私は娘を看護していた看護師の方に話を聞きました。多くのお母さんが、子どもを産んでからすぐに仕事に戻らないといけないと心配していました。(会場から、「それ私!」)ほら、ここにいる! どの州でも、多くのお母さんがそれに悩まされているんです。でも、赤ちゃんだけじゃない。病気になった子どもの看病、お年寄りの介護。お互いを助け合うこと、これ以上に大事なものなんてありません。

次に教育について。全ての子どもは質の良い学校で良い教師のもと、良い教育を受けるに値する価値を持っています。そして、私たちは大学の敷居を下げる必要がある。私は昨日、ニューハンプシャーで、同じく大統領候補でもあったバーニー・サンダース上院議員と討論会を行いました。そこには、一つ一つの課題に丁寧に話す空間がありました―当然、侮辱で蔓延した空間ではなく。方法は違えど、互いに志すゴールを共有し、実際に何を一緒にできるか、アイディアを出し合いました。そこで生まれたのは、年収125000ドル(約1266万円)以下の家族は、大学を無償で受けられるようにするというものでした。当然、負債なしに、自分の支払うべきものをだけを支払うようにする。ここアイオワでは、120億ドル(約1.2兆円)もの未払いの学生ローンがある。教育は学生を支援するものであって、学生の足を引っ張るものであってはなりません。すでに、借金をかかえている方に対しても、負担を和らげる取り組みをおこないます。全国には、すでに学生ローンをかかえている4000万人もの方がおり、そのうち30万人がここアイオワにいるのです。これ以上利息付きの学生ローンを払い続けさせるのはおかしい。4年大学を進学しないと就職先が見つからない、中所得者の生活ができないなんておかしい。若者が、学生が、学校を経て、自分の望む仕事に就き、生活を送る。これは他でもないあなた自身の問題です。これを実現するためにできること、とっても古典的な方法になってしまいますが、投票です。私に投票してください。

私が大統領になって何をするか。ティム・ケイン(民主党副大統領候補)と一緒に一冊の本を出版しました。タイトルは「一緒の方が強い」”Stronger Together”。何人かもうすでに手に持ってらっしゃいますね。本屋でも空港でも、どこでも手に入ります。そこには、私たちがこの国で何をするのか、どこから財源を確保するのかが書いてあります。一つシンプルな答えとして、私たちは一部の富裕層や企業に、しっかり公正に税金を徴収します。

ところで、トランプ氏はまったく違うヴィジョンを持っています。彼は自分の所得税を払わなくて済むようなシステムをアメリカに持ち込もうとしています。(彼は今、20年近く所得税を納税していない疑惑をもたれている)私が大変に不快に思うのは、彼がアメリカを侮辱し続けていることです。我々の国を後進国と言い、軍隊は崩壊していると罵る。なるほど、それはもしかしたら本当かもしれません。なぜなら、彼は1セントたりとも、軍隊のために、退役軍人のために、学校、公共道路、教育のために税金を払っていないからです。彼はみんなに税金を払わせ、払わない自分はスマートだと、誇らしくすらも思っている。

税金を払わない彼がスマートなら、払っている私たちはなんだと言うのでしょう。私の夫と私は40年間、所得税を申告しています。しっかりと公表しているのでみなさんも見ることができます。私たち夫婦は最も高い限界税率を払っています。我々に恩恵をもたらしてくれているこの国に貢献できることを嬉しく思いますし、それが次の世代につながるようにしたい。

トランプ氏は、2008年から2009年にかけて起きた住宅危機をもたらした一人です。彼はそれさえも誇りに思っているいるのでしょう。500万もの家族が家を失ったのです。それなのに、彼はそこから金儲けができると言った。「ビジネスはビジネスだ」と。人々を家から追い出し、夢をもって懸命に働いている人々をつぶすことがビジネスだと? 決して、このような人間が大統領になるべきではありません。彼はアメリカン・ドリームというものを理解していない。それを勝ち取るのがどれだけ難しいのかを理解していないのです。(歓声)

次の討論会で彼が何を言うのか、まったく検討もつきませんが、みなさんもご存知の通り、私はそのためにしっかりと準備をします。

しかし、です。私がこれまでに話したこと、今、手もとにあるこの本に書かれていることは、あなたの力なしでは成し遂げることができません。この国の未来、経済の未来、社会の未来は、あなたの一票にかかっているのです。この国に広がる憎悪や対立を見ると、本当に心を痛めます。私たちは違いを受け止め、互いの声を聞き、互いに尊敬し合わないといけない。そうやって、私たちは一緒に違いを克服するのです。

ぜひ、あなたにこのキャンペーンに参加してほしい。選挙は近づいてきました。11月8日に私たちは勝つことができます。自分の携帯から、47246番(電話番号)宛に”Join”と送ってください。(これを送るとボランティア情報が送られる)もしくは、hillaryclinton.comに行って、ボランティアの登録をしてください。有権者登録が済んでいるかどうかわからない場合は、iwillvote.comで行って、自分の名前と住所を入力し確認してください。そして、投票してほしい。自分の周りの人へ投票を呼びかけてほしい。この演説会が終わった後、すぐに投票に行きますよね? なぜなら、私たちは、”一緒の方が強い”(stronger together)ことを行動で証明するからです。そして、私たちが証明しなければならないことはもう一つ。「私たちの愛はトランプの憎しみに勝る」”Love trumps hate”(みんな声を揃えて)。(歓声)

原文はこちら。(冒頭といくつか重要でないところは飛ばしています。)

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