【アメリカ大統領選】共和党のトランプ候補の演説を見に行ってみた

文: 山本雅昭・ポスト編集部

みなさま初めまして、山本雅昭と申します。しばらく、アメリカのアイオワ州の寿司屋で厄介になっています。

以前に何度か、アメリカの大統領選について、記事を書いたり、情報をシェアさせていただきました。そんな経緯で、大詰めとなったアメリカ大統領選について、面白そうな情報をお送りしたいなと思っています!

  

アメリカの大統領選

さて、僕のいるアメリカは大統領選まっただ中。アメリカ全土が、二人の候補者を吟味しています。

激しいデッド・ヒートを演じているのは、共和党のドナルド・トランプと、民主党のヒラリー・クリントン。投票日は11月8日とまさに喫緊、とくに今はテレビ討論会が行われています。

今回の大統領選はトランプの発言の「過激さ」や、民主党の大統領候補だったバーニー・サンダースの左派的な政策があるなど、右左の振れ幅が大きく、かなり注目されています。また安全保障の話はもちろん、両候補ともTPPに反対しているなど、日本にも大きな影響のある選挙です。

と、まあなんだか重要な選挙なんだなという感じでちょっと走りましたが、実際はヒラリーもトランプも嫌われていて、「どっちになってもこの国は良くならない」と悲観的に見ている人が多い感じです。

一方で当然、熱狂的な市民もいるんですよね。と、いうわけで、今回はここアイオワ州で開かれたトランプの演説があると聞いて、トランプとそんな熱狂的な市民を観に行くことにしました~。ちょっと長いんですが、お時間ある時に読んでもらえたら嬉しいです。

*アイオワ州の大統領選事情については、このサイトが詳しいので、ぜひ見てください。

 

とりあえず、見たまんまのことをつらつら書きますと

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集まった人たちは想像してたよりも少なく、600人くらいでした。

男女比は半々、40代〜60代が多数。10代は4組ぐらい見つけて、インタビューに応じてくれたのは1組だけ。トランプを応援することは、少し複雑というかデリケートなのかなという印象でした。

基本的には白人が多く見受けられましたね。黒人はちらほら、くらい。会場の前でグッズを売っているボランティアには黒人が少し目立っていましたが、インタビューには応じてくれませんでした。

(LIVE会場みたいに出店が並んでいます。サンドウィッチとか売ってた)
(LIVE会場みたいに出店が並んでいます。サンドウィッチとか売ってた。)

 

気になるスピーチの内容は?

トランプの演説はヒラリー批判が中心。彼女のメール問題や、オバマの政策を引き継ごうとしていることを批判すると会場は大盛り上がり。演説での盛り上がりを聞くかぎり、多くの参加者が、オバマケアに対して不満を持っている感じでした。


 
アイオワの土地柄、農産業の復興がテーマになり、TPP批判にもつなげていました。「他の国の心配ではなく、まずは足元を見るべきだ。この国を再び良くすること、私はこのことだけに全力を尽くしたい」といった感じです。

正直、彼の「過激」な発言を期待してたのですが、あまりそういうのは見受けられず、スピーチも慎重になってる感じでした。「合法的に住んでいるヒスバニック系やアフリカンアメリカンをしっかりとしたシステムに組み込み、共にこの国を良くしていかなくてはならない。貧困の問題についても、たとえば教育を受け入れられない子どもたちがいる。これをどうにかする。みんなに平等にチャンスが与えられる制度を作らなくてはならない」みたいな感じで、なんだかリベラル風でスピーチしてました。

でもイスラムの人たちに対しての批判というか、嫌悪感みたいなものは相変わらずでした。市民を煽っていて、安全保障の話に持っていて、「この国を彼らから守る」と言って一体感をつくっていました。ターゲットをイスラムに絞っている印象でしたね。Make America great again!は、彼の決まり文句。ばっちしキメてました。

 

実際に、トランプを応援している人の声を聴いてみた

それにしても、トランプはどうやって市民をモチベートさせているのでしょうか? 実際に彼を応援している人たちに話を聞いてみました。

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なぜ、トランプなんですか?
Aさん

もともと共和党支持者だから。(40代、女性)

彼はアメリカを愛しているから。お金やホワイトハウスに入りたいからといった理由ではなく、一つ一つの問題と向き合っている。(40代、女性)

ヒラリーを信じられないから。(18歳、男性)

彼のアイディアの方が素晴らしいから。(16歳、男性)

この状況を変えないといけない。ヒラリーを選んで何も変わらない。(60代、男性)

もう一度、夢を持てるような社会を彼は実現してくれるだろうから。表面的に市民になにかを与えるのではなく、根本的な資本を作り直して、教育の質の向上や、貧困問題を解決してくれると思う。彼の方がヒラリーよりよっぽどリベラル。(24歳、女性)

「ヒラリーを選んでも何も変わらない」って声はかなり参考になりますね。思えばサンダース氏も、かなり抜本的なアイディアを提示して支持を集めていました。

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次に、ヒラリーのイメージを、トランプ支持者の人たちに聞いてみました。

ヒラリーのイメージは?
Aさん

ヒラリーはオバマがやっていることを引き継ごうとしているだけで、何かが変わるとは思えない。約25年も政治家として勤めていて、ずっと同じことをしている。彼女のメール問題もあって、信頼できないし、安全保障上、彼女は大統領として不適切だと思う。(40代、女性)

嘘つき。(60代、男性)

やっぱり、メール問題がかなり響いているみたいです。また、TPPについて意見が変わったりしている(前は賛成だったのに今は反対している)のも大きいのかなと。

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次に、トランプがしばしば批判される差別主義について、イメージを聞いてみました。

トランプは差別主義者だと思う?
Aさん

そうは思わない。確かに彼の表現は角が立っていたり、少し稚拙な部分は感じられる。でも、彼の本心はそこにはないと思うし、すべてのアメリカ人を大切に思っている。不法滞在をして税金を払わない人がいることは不公平だ。そして、それが傾向的に人種の違う人で、それに対して意見を言うことが差別的なのであれば、そう思われても仕方がないかもね。(40代、女性)

リベラルなメディアがそうやって煽っているだけ。事実、彼は以前に、モハメド・アリに対して慈善行為をしている。(40代、女性)

それはメディアによって、彼がそのような発言をしているかのように操作されているだけだ(18歳、男性)

彼は「レイシスト」”racist”かという質問をしたのですが、それに対して、みんな否定をしていましたね。この差別問題はとても根が深いものだと感じました。個人的には、この質問に対する市民の答えには違和感を抱きます。アメリカでは、「ポリティカルコレクトネス」と言われるものが政治家のあいだでは用いられます。つまり、人種・宗教・性別などの違いによる差別的表現をしてはならないという暗黙のルールです。トランプはそれを破っている候補者ですね。それに対して、既存の政治家とは違うからという理由で魅力を感じている人が多数いるという印象も受けました。

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他にも、こんな意見がありました。トランプの選挙の「盛り上がり」が分かるんじゃないかなと思います。

Q. その他

トランプが出馬したことで、今回始めて、共和党を支持している。(40代、女性)

10代の子たちが候補者のスピーチを聞きにくることは珍しいと思う。しかし、若者の関心度は高いと思う。(16歳、男性)

前回の選挙と比べて、多くの市民が声を上げ、主体的に動いているように思う。投票率も前回を上回ると予想している。

自分と同い年の友達と選挙について話すことがあるし、トランプの支持者も多い。バーニーの支持者も多いけど、トランプに変えた人もいると思う。彼らももっと勉強すれば、トランプの良さに気づくとはず。(24歳、女性)

最後に、トランプの選挙ボランティアをやっている人に、戸別訪問について聞いてみました。

戸別訪問はみんな好きなタイミングで各々やっている。たまに日にちを決めてグループを作って一斉にやることもある。特別、何件まわったとかの集計はしていない。また、年齢や人種、地域を絞ってはやらない。手当たり次第やる。相手が民主党員だろうと、違う人種だろうと関係ない。社会を良くするためにやっていることだから、人を選んだりはしない。
 基本的に、共和党支持者は皆トランプを支持していると思う、FOXニュースを見たらわかる。戸別訪問をしていて、トラブルなんてない。みんな話す準備ができているから。(50歳、女性)

 

おわりに

僕の個人的な見解として、この演説は、来ている人に「トランプの良さを伝えるための情報をアップデートする役割」を担っているように思えました。

差別のことをはじめ、トランプには多くの批判がありますし、そうした批判はトランプ支持者に不安を与えるものです。今回の演説は、そうしたトランプに対する多くのネガティブイメージを、トランプ自身の言葉がカウンター的に払拭するようなかたちでした。そして、それを聞いた支援者が自分の友達や家族に「誤解を解く」といったかたちで伝えている感じでした。

まだ、ヒラリーのは見ていないので、きちんとした比較はできないのですが、トランプ支持者の方がこの選挙に対して、意欲的に参加しているのでは、とも思いました。と、いうわけで、近いうちにヒラリーの選挙も見てみたいと思います!

ちなみに、トランプはめっちゃ遠くて、最後に市民と握手しているところでちょこっと確認できました。いやー、正直すんごく行くの怖かったのですが、意外と大丈夫でした。

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