7月10日は参議院選挙です。
今回の選挙は、個々のイシューについての議論があるものの、やはり「安倍政権のこれまで」を問うという性格が強いものです。 というのも、安倍政権は前回の選挙のさいには経済経済と言っていたものの、その後やったのは安保法制でした。さらにここ最近の安倍政権は、選挙間近というタイミングで「約束とは異なる新しい判断」として公約にかかげていた消費増税を延期することを打ち出しました。
もちろん、選挙というタイミングで改めて国民の方を向くこと自体は悪いことではありません。しかし、選挙時に言っていることと選挙後にやることが著しく異なっていたり、「えっ、こんなこと言ってたっけ?」みたいなことが大々的に行われたりするのも、困ることです。重要なことは、「この政党は、これまでどんなことをしてきたのか」をしっかり踏まえたうえで、一票を入れることです。
前置きが長くなりましたね。ここでは安倍政権のこれまでの政治を、4つのポイントに絞って見ていきます。
1.アベノミクスの評価
安倍政権は、「アベノミクス」を経済政策として大々的に掲げてきました。ものすごくざっくり言うと、アベノミクスの基本的な考え方は、まず大企業や株を保有している高所得者をたくさん儲けさせます。そのうえで、その富を設備投資や業績upによる賃金向上を通して中間層・貧困層へと滴り落ちていかせるものです。
しかし現在、この富の好循環が起きていません。得をしたのは大企業や株を保有しているような高所得者のみで、従業員の給与も上がらず、オマケに消費税が上がりました。
こうなると、経済活動の中核をになう中間層の消費が停滞し成長が阻害されるうえに、格差が拡大するため社会の不健全さが増すばかりです。
つまり安倍政権は、経済で結果を残せていないということです。
2.一億総活躍? ー どのような生活保障か
安倍政権が今回の選挙の最大の目玉として強調しているものの一つが「一億総活躍」です。
ちょっと分かりにくいし、なんか怖そうな言葉ですね。基本的には「みんなが活躍できる社会をつくろう」ということで、雇用を中心とした「包摂」を行おうとしているようです。
しかしこれまでの安倍政権をふりかえれば、雇用者数は増えたものの、正規雇用者数は減り、“非”正規雇用者数が増えています。実質賃金は減り、ブラック企業がはびこり、労働者派遣法が改悪されました。保育園問題のなかでも、保育士の給与が低すぎることが話題になっています。
このような、雇用環境を悪化させてきた、そのうえに「一億総活躍」があることを見なければなりません。普通に考えれば、安倍政権の語る「一億総活躍」は、劣化した雇用へと人を放り込むことと同義なわけです。仮にも「活躍」を語るのなら、まさに生活を保障する政治を真っ先に行うべきでしょう。人々の生活を保障すること、そのための再分配をはじめとした政策が経済政策としても重要なのは、前述の通りです。
3.安保法制
昨年、安保関連法案が強行採決されました。内容としては、自衛隊を激しい戦場へ送り込み、人を殺し/殺されるようにするものです。自衛隊が紛争当事者に、日本は紛争当事国になります。
そんな多くの命に関わる重要な法案を、与党は強行採決によって可決させました。「人間かまくら」をつくり、議事録にも残らないような状況で、採決を行ったのです(最近、この議事録について国会で指摘があり、速記を修正し、あたかも平穏に採決されたかのような記録にしたことが問題となっています)。
しかも、9割の憲法学者がこの法案を「違憲」とするなど、立憲主義を揺るがしかねないものです。アンケートでは「合憲」と答えた憲法学者はわずか3名、安倍首相が合憲の根拠として持ち上げる昭和47年政府見解では、明確に「集団的自衛権の行使は、憲法上許されない」と書いてあります。
昨年の安保法制への国会前抗議行動に対して「憲法論が先行していて安全保障論が抜け落ちている」と言う人がたまにいます。しかし、もし本当に安全保障論的に重要だと考えるならば、その重要性・必要性を社会に訴えつつ、憲法に明記されている正当な改憲の手続きを経て法をつくるべきでしょう。それさえせずに強行採決しようとするのはどういうことか、ということです。
4.自民党の改憲案を許すかどうか
自民党改憲草案。みなさんはチェックしましたか?
https://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/seisaku-109.pdf
自民党は、この参院選で勝利(参議院2/3以上の議席を取る)した場合、改憲を行う可能性があります。しかしこの改憲草案には、いま私たち国民に保障されている多くの大切な権利を脅かすかもしれない内容が含まれています。
自民党の改憲草案の一番の特徴は、「立憲主義」を否定しているということです。本来憲法とは国家が自由に権力を行使できないように、国家を規制するものです。この、権力を制限する機能、言ってしまえば「政治家を縛る」原理を「立憲主義」言います。
しかし草案では「国民は、この憲法を尊重しなければ」と書いてあります。つまり、憲法によって国民を規制しようとしているのです。また、「公共の福祉」も「公益・公の秩序」へ変更されます。これは、国家や政府の利益に反するものを排除しようとすることが予想されます。
たとえ、現政権がわたしたちの権利を脅かそうとする気がなかったとしても、憲法の文章は「最高法規」として残ります。そしてそれらは、いつか「解釈」をされて、私たちの権利を脅かすかもしれません。
(参考)「【SYNODOS】自民党憲法草案には何が書かれているのか?/木村草太×荻上チキ 」
選挙は、わたしたちの未来を決めるもの。
どこに投票するかを考えるだけでなく、「こんな政治をしてほしい!」と主張することも、大事です。
CHANGE together & VOTE together.
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