選挙まで残り2日。今さら聞けない!!【選挙区制、比例代表制の違い】

文: 橋本紅子

7月10日の参議院選挙を直前にして、ニュースやネットには様々な情報が溢れていますね。
しかし、「投票に行かなきゃ…とは思っているけれど、実は選挙というものの基本的なことから、まずしっかり把握出来ていない…そして今更人に聞けない!」と思っているあなたへ。
安心してください。

あなただけではなく、同じように感じている人は結構いるので、ここで改めて、【衆議院、参議院の違い】【選挙区制、比例代表制の違い】について、分かりやすく説明したいと思います。

今回は、【選挙区制と比例代表制の違い】についてです。

選挙区制

選挙区制というのは、都道府県ごとに候補者と定員数が違います。
(○○党の神奈川選挙区はこの人、東京選挙区はこの人、といった具合)

ちなみに定員は、
今回神奈川県で選ばれるのは4名。
東京からは6名選ばれます。
筆者にとって身近な東京・神奈川を例に挙げましたが、他の道府県も同様に定員が決まっています。
また、定員が1人分しかない選挙区のことを一人区(いちにんく)、または小選挙区と呼びます。

選挙区候補の投票は、自分の住んでいる(住民票を置いている)都道府県の選挙掲示板に貼られているポスターの中から候補者を選び、投票用紙に候補者氏名を書いて投票します。

比例代表制

比例代表制は、住んでいる地域関係なく、全国から票を集めたトータルで決める枠のことです。基本的には政党名で投票しますが、その党のなかで特に推したい人がいる場合はその人の名前を書いて投票することもできます(書いた候補者が選ばれなかったとしても、それは「その党への票」としてカウントされるため、死票にはなりません。
つまり「比例代表」の投票用紙に候補者氏名を書くと、候補者とその党両方を応援することができてお得です!

比例代表制というのは、比例代表全体の投票数と、それに対して各党がどれだけ票を獲得したかで党ごとに取れる議席数が決まります。
具体的には「ドント式」という計算のしかたで決まります。下の図は、議席の定数が3だった場合の例です。

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○計算方法○
各政党の得票数を1,2,3・・・・と整数で割っていき、数の大きい順に議席を配分していきます。

そしてその党が獲得した議席の座に、党内の誰が就くかというのは、個人票(比例代表の投票用紙に、政党名ではなく個人名を書かれた人に入る票)の得票数に応じて順位がついて当選者が決まりますが、獲得した議席数に対して個人票の人数が足りない場合や、個人票と個人票の数が同じになった場合などはくじ引きで決まります。

 

以上が選挙区制と比例代表制の大きな違いになりますが、選挙区制の性質として、以下のような事が起き得ます。

たとえば、とある選挙区での定員が2人だったとします。その際、

自民…20%
公明…16%
民進…15%
共産…10%
生活…10%
社民…10%
緑の党…10%
無所属…9%

↑といった得票比率になった場合、パーセンテージでいえば自民公明(=与党)合計の支持率は全体の36%ということになりますが、
与党のやり方に反対している党(少なくとも今回の選挙では)の支持者は合計すると55%に登ります(ここでは無所属は勘定に入れていません)。しかし、バラバラと候補者が出てしまっているため、まとまれば与党を上回るはずの票数が分散してしまい、各党の得票パーセンテージは与党に届かず、票数の多い順に当選するため、支持率がたった36%であっても自民と公明が順位では勝るため、現実には残りの55%の意見は反映されずに死票になってしまいます。
これでは、有権者全体の意見が活かされてることにはならないのでは…といった問題点が挙がっています。

つまり、選挙区制というのは大きな政党にとっては有利であり、その他の政党には不利な制度といえます。

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photo by shinta yabe

そのため、今回の参院選では戦後初めて、与党の動きに歯止めをかけたいとする野党が共闘し、一人区(定員が1名のみの選挙区)で票が分散してしまわないように、野党間で合同の候補者(=野党統一候補)を出して議席確保のため協力しています。

余談ですが、これは「うちの党にはうちの党の政策がある!」「あの党と一緒になるなどありえない!」と言っていた野党の政治家たちに対し、与党の動きに反対する市民が共闘してくれるよう上げた声が反映された結果です。

選挙区で大政党以外の候補者を国会に送るには、時にこういった対策が必要になります。

なお、比例代表制には選挙区制のそういった不公平さがなく、票が入れば入った分だけそれがそのまま議席に反映される(=死票が出ない)ことになります。
そのため、芸能人や著名人など知名度の高い人物が政治家として出馬すると、その党の得票数がより伸びやすくなるというケースもあります。
ただし私たちの生活の基盤作りを担う政治家は、人気や知名度ではなく政策や主張で選びたいところですね。

以上、選挙における基礎的な仕組みについてでした!
投票前にぜひ、参考にしてみてください!

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