“もう しんだことに なっている ぞうを いつまでも いかして おくことは できません。”——— p.19
戦時中、上野動物園にいた三匹のゾウが餓死させられた。「空襲で檻が壊れたら危険だから」という理由ではない。この命令の本当の意味は、人気者のゾウを殺すことで、この国の全てを戦争に巻き込むことだった。戦争は、子どもだからといって、動物だからといって、避けては通らない。戦場に行く兵士だけでなく、あらゆるものに見えない軍服を着せてしまうのだ。例外はない。それは「大きな渦」だと、飼育員の小森さんは「絵本によせて」に書いている。
かりん
BOOK'S SELECTION
僕は、そして僕たちはどう生きるか
梨木香歩 著
理論社
2011年
“僕を信じて付いてきた、あのニワトリを守り切れなかった。” ——— p.228
吉野源三郎『君たちはどう生きるか』は、盧溝橋事件の年に出た。 軍国主義が社会を覆い、言論が弾圧されていくなか、子どもたちに向けて計画されたシリーズの一冊だった。 この命がけの「君たちは、どう生きるのか」という問いを、著者は現在のなかに受けとめ、 「僕は」「僕たちは」という主語を置いた。性暴力、個と集団、兵役拒否、開発と自然破壊などを織り込み、自ら魂を殺害し戦争に適応する人間の姿を丹念に捉えた。70年前と今が鮮やかに繋がる。
かりん
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