“共同体は至高性の場ではない。それはおのれを露呈しながら他を露呈させるものである。共同体は、それを締め出す存在の外部を内に含んでいる。”——— p.34(※「外部」に傍点)
生きるということ、死ぬということ。 とても個人的なことに思える。 私の生を、私の死を、誰も代わってはくれない。 しかし果たして、私は独り死ぬことができるだろうか。 「私は死んだ」と言える人間はどこにもいないはずだ。 私はせいぜい他者の死に立ち会うことしかできない。「私が考えることは自分独りで考えたものではない。」こう言ったバタイユのことを考え続けたブランショ。 そのブランショを考え続ける私とは。 まさにここに共同体は出来する。
羽鳥涼
BOOK'S SELECTION
政治の眼力 — 永田町「快人・怪物」列伝
御厨貴 著
文春新書
2015年
“マジョリティーを動員しようとする気負いと自信が生じた途端に、その緊張感と距離感がなくなり、実は安倍は、次の一手を見失うのではないか。” ——— p.54
本書は、安倍晋三や菅義偉、石破茂から岡田克也など、 「災後」という時代状況を生きる政治家たち25人に注目し た評論である。 著者はオーラル・ヒストリーの第一人者として名高く、そ の筆さばきはもちろん、文章の一つひとつを見れば、同時代 を生きる政治家を語ることの難しさがひしひしと伝わってく る。彼らもまた「人」なのだ。我々の政治を見る「眼力」を より複雑に、的確にしてくれる一冊。
古谷
POST(ポスト)は、様々なかたちで日本の政治や選挙について考えるきっかけを提供するウェブサイトです。