“そこで私が企てているのは大変単純なことである。すなわち、それは私たちが行っていることを考える以上のものではない。”——— p.16
アレントは“thoughtlessness”(思考欠如)こそ現代の特徴だと言う。われわれはいったいなにもので、いつ、どこで、なにをしているのかを知らないし、知ろうともしない。知りたくもないから。だからわれわれは、知らない間に、なにか最悪のことに手を貸してしまっているのかもしれない。このような思考の欠如は何を生んだか。アイヒマンを、アウシュヴィツを、大量虐殺を生んだ。自らを知ろうとすることは、哲学は、役に立たないのか? 否、それは最悪の事態を回避するのに役立つのだ。
UCD
BOOK'S SELECTION
国際政治史
岡義武 著
岩波現代文
2009年
“外交の態様の変遷、外交を制約する国内的条件、国際労働者運動のごとき、その記述において全くふれられないかまたは触れられることの少なくなるのは、自然であろう。” ——— p.2
国際政治の推移を現象的な部分だけを切り抜いて考察するのではなく、その現象に潜む構造の変化に着目する。国家間の外交政策にに国内政治が、そして市民の運動が影響を与えたことを歴史が当然のように感じるSEALDsと同世代の若者に、広い国際政治史の中で現在を見つめる機会として是非お勧めしたい一冊。
みつ
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