“そこで私が企てているのは大変単純なことである。すなわち、それは私たちが行っていることを考える以上のものではない。”——— p.16
アレントは“thoughtlessness”(思考欠如)こそ現代の特徴だと言う。われわれはいったいなにもので、いつ、どこで、なにをしているのかを知らないし、知ろうともしない。知りたくもないから。だからわれわれは、知らない間に、なにか最悪のことに手を貸してしまっているのかもしれない。このような思考の欠如は何を生んだか。アイヒマンを、アウシュヴィツを、大量虐殺を生んだ。自らを知ろうとすることは、哲学は、役に立たないのか? 否、それは最悪の事態を回避するのに役立つのだ。
UCD
BOOK'S SELECTION
生活保障 — 排除しない社会へ
宮本太郎 著
岩波新書
2009年
“生活保障とは何か。それは、雇用と社会保障をむすびつける言葉である。” ——— p.IV
現在日本には、非正規雇用やワーキングプアの増加、年金など社会保障制度の先細りなど、生活保障をめぐるさまざまな問題がある。こういった状況になって久しいためか、よい 打開案も浮かびづらい。この本は他国の例を示したのち、それを日本にそのまま適用しようとするのではなく、日本の現状に合った形のビジョンを打ち出している。生活や将来に不安を感じる全ての人におすすめしたい本である。政治家によりよい社会を求めるとき、役に立つだろう。
幸子
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