“私たちは、受け入れるべきひとつの事実として、関係という事実を手にしたまま相変わらず出発点に立っているのである。”——— pp.32-33
本書は、教育学者・哲学者として有名なジョン・デューイの国家論・民主主義論の代表的な一冊と言えるものである。 私たちは「国家」を語る時、その起源や本質を求めがちだ。しかしデューイにとってそれは、単一の起源や本質からでなく、人と人との「結合」、繋がりから国家を構想することだった。そして、しばしば問題視される「公衆」の「没落」についてのデューイの答えは、「もっと民主主義を」。今ここ、私たちから民主主義を始めよう。
SOB
BOOK'S SELECTION
〈テロル〉との戦争 — 9.11以後の世界
西谷修 著
以文社
2006年
「テロとの戦争」なるものを設定することで、 アメリカは「戦争」を発動する国家が負うべきいっさいの責任を投げ出したのだ。” ——— p.103
アメリカ政府が9.11以降に始めた「テロとの戦争」を鋭く批判している著作。「テロリスト」は、たとえ何も起こしていなくとも、事前に排除しなければならない。「テロリスト」であれば、人権や人道的扱いせずに、どんな手段で殲滅しても構わない。そして、市民は常にテロに対抗しなければならない。本書はこうした「テロとの戦争」のレトリックの暴力性を暴き出している。10年以上前の著作ではあるが、昨今のテロを考える上でも示唆に富む内容である。
ユリヤ
POST(ポスト)は、様々なかたちで日本の政治や選挙について考えるきっかけを提供するウェブサイトです。