“私には夢がある。 /かつての奴隷の子孫とかつての奴隷主の子孫が、兄弟愛のテーブルに仲良く座ることができるようになるという夢が。”——— p.103
本書は「夢」の話だ。 キングのスピーチは「DREAM」であって「PLAN」ではない。 二言目には「対案をだせ」と言うこの国では伝わりにくいが、この夢は、アメリカの夢、人類の夢となった。 過去の人々には 「夢」だったことが、次の世代の「現実」を作り、また「夢」を完成させるために引き継がれていく。 その繰り返しが歴史を作った。 未だ、世界中で差別は無くならない。 だが何度でも言おう。 「今日も、そして明日も、様々な困難や挫折に直面したとしても、それでもなおまだ、私には夢がある」
奥田愛基
BOOK'S SELECTION
カタストロフからの哲学 — ジャン=ピエール・デュピュイをめぐって
渡名喜庸哲, 森元庸介 編著
以文社
2015年
“デュピュイによると、「未来」の必然性というのは、まさしくカタストロフが必ず生じることを現実的だとみなすということである。” ——— p.87(※「現実的」に傍点)
いつかは地震が起こる——私たちは「知っていた」はずだ。しかし「信じられた」だろうか。専門家は言った——こうすればリスクを軽減できる。しかし起こってしまった今、「事情に疎い」私たちは感じている——それは起こらざるを得なかったのだ。だからこそ、私たちはこの災厄と向き合わねばならない。未来から過去へ告げ知らせなければならない。私たちはこれからくる破局の前夜にいるのだ。「市井の」思想家デュピュイの「賢明なるカタストロフ論」への案内に。
羽鳥涼
POST(ポスト)は、様々なかたちで日本の政治や選挙について考えるきっかけを提供するウェブサイトです。