“私には夢がある。 /かつての奴隷の子孫とかつての奴隷主の子孫が、兄弟愛のテーブルに仲良く座ることができるようになるという夢が。”——— p.103
本書は「夢」の話だ。 キングのスピーチは「DREAM」であって「PLAN」ではない。 二言目には「対案をだせ」と言うこの国では伝わりにくいが、この夢は、アメリカの夢、人類の夢となった。 過去の人々には 「夢」だったことが、次の世代の「現実」を作り、また「夢」を完成させるために引き継がれていく。 その繰り返しが歴史を作った。 未だ、世界中で差別は無くならない。 だが何度でも言おう。 「今日も、そして明日も、様々な困難や挫折に直面したとしても、それでもなおまだ、私には夢がある」
奥田愛基
BOOK'S SELECTION
フェミニズムの政治学
岡野八代 著
みすず書房
2012年
“一見すると個人的にみえる応答の仕方であったとしても、そこに社会変革への道が拓かれるのだ” ——— p.358
夫との不仲に悩む専業主婦の女性が、子どもの将来と、再就職への不安、両親の介護を考え、離婚を諦めた。 近代的なリベラリズムの個人観に当てはめれば、彼女は「未熟で判断能力がない個人」である。 一方、「自立した個人」とされる夫は、妻のサポートを無自覚に享受する。 私たちは、生まれてから死ぬまで誰かに依存し、他者のケアなしには生きられない。 そのあまりに普遍的で、しかし大文字の政治学が忘れ去った大前提から社会構想を考える。
大澤 茉実
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