“「なぜだ?」私は下手くそなドイツ語で尋ねた。「ここにはなぜなんて言葉はないんだ」男はこう答え、私を突き飛ばして中に押し込んだ。”——— p.27
アウシュヴィッツには「なぜ?」という問いは存在しない。その応答である“reason”(理由=理性)も。 逆に言えば、 「なぜ?」という問いのないところに、アウシュヴィッツは生まれる。 その土壌はいまなお、完全に消え去ってはおらず、この社会の中にある。 われわれは、まずこのような悲惨があったことを真に受けよう。 そして、想像の及ぶ限り想像しよう。 人間が主体を奪われ、番号になってしまう前に、 「なぜ?」 という問いを発しなければならない。
UCD
BOOK'S SELECTION
他者の苦痛へのまなざし
スーザン・ソンタグ 著; 北條文緒 訳
みすず書房
2003年
“あなたたちには理解できない。あなたたちには想像できない。” ——— p.127
日々膨大に流れる言語や写真、映像の情報を介して得る「他者の苦痛」。それらを目の当たりにし、反戦と平和、貧困や格差の是正、差別の撤廃を叫ぶ人々。そして目や耳を塞ぎ、傍観し、無用な批判や罵声を発する人々。けして誰も本当にはその苦痛をわかりはしない。本書は訴え、呼びかけ、問うている。私たちの失いかけた感受性を、想像力を、注意力を再び取り戻し、現状に抗い続ける意志を絶やしてはならない。いま、スーザン・ソンタグのいうラディカルの意味を自らに問い直したい。
ゆいぽよ
POST(ポスト)は、様々なかたちで日本の政治や選挙について考えるきっかけを提供するウェブサイトです。