“そこかしこで人はこぞって声を張り上げた。だって、たかがフィクションではないか、と。”——— p.34
チュニジア出身の精神科医で、現在パリⅦ大学教授の著者によってこの本が書かれたのは1994年。しかし2016年の今、ここに記された問題は一切古くなっていない。単なる「文学的フィクション」や「表現の自由」がなぜイスラームと衝突するのか。「西洋VSイスラーム」という単純な図式ではなく、両者が拠って立つ「テクスト」という概念に着目して描かれるこの本は、シャルリ・エブドを嚆矢とする「テロ」事件、そして「原理主義」そのものを考えるために今こそ復刊され、読まれるべき本だ。
JGJ
BOOK'S SELECTION
憲法主義 — 条文には書かれていない本質
内山奈月, 南野森 著
PHP研究所
2014年
“憲法とは、時の権力者に「この憲法に従って行動しろ」と命令するものです。” ——— p.223
憲法学の研究者とアイドルとの授業構成での対談。 日本の政治で唯一国民が国家を制限できる法、憲法。憲法が絶対的である理由や、絶対的であるはずなのにその内容は解釈次第である不完全さ。立憲主義の定義や歴史、現状、過去の実例や、最高裁判所、内閣、国会と憲法との関係が丁寧に語られる。他国との比較によって、日本での憲法の独自性も分かりや すく書かれている。基本的な情報を知りたい、憲法に初めて触 れる人にも分かりやすい一冊。
Cocoro Tany
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