“福島原発の大事故は、自然にたいして人間が上位に立ったというガリレオやベーコンやデカルトの増長、そして科学技術は万能という十九世紀の幻想を打ち砕いた。”——— p.91
福島の第一原子力発電所が大事故を発生させた時、当時の政治家や電力会社は口々に「想定外」と発言した。当然、原発は人間の扱える限界、つまり「想定」を超えている。放射性廃棄物は何世代にも渡って負の財産を残し、事故が起きればその周辺の土地は使いものにならなくなる。それにも関わらず、原子力=「大国になるための条件」という幻想を抱きながら、原発に対する疑問を許さない空気を作り上げてきた。著者はそれを「原発ファシズム」であると批判する。
まっしゅ
BOOK'S SELECTION
批判的想像力のために — グローバル化時代の日本
テッサ・モーリス=スズキ 著
平凡社ライブラリー
2013年
“すなわち、『責任』は、わたしたちが作った。 しかし、『連累』は、私たちを作った。” ——— p.67
この本は、九〇年代の終りから二十一世紀の変わり目にか けての、特に「歴史」をめぐる言説状況についての論集です。 そして、右旋回を目の当たりにするグローバル化時代の現代において、「言葉」を思考するための必読書です。「ネオリベラリズム」、そして「虚無的ナショナリズム」は、この本 が初めて世に出てから、むしろ悪化しているようにも見えます。「想像力の危機」に抗する、越境的な「言葉」の可能性 について。
SOB
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