“在特会とは何者かと聞かれることが多い。そのたびに私はこう答える。 あなたの隣人ですよ―。”——— p.364
この本の前半には、在特会のトップの桜井の半生や、その他の会員の素顔や本音または在特会の起こした事件や「反在日」のルーツが書かれている。後半は離反する会員や、豹変してくるリーダー、広がっていく標的について書かれている。この本にでてくる登場人物に共感を持てる人もいるかもしれない。だからといって、ヘイトスピーチは許されるものではない。そしてこれがオリンピックを控えた日本の現状である。このヘイト問題も私達に問われている。
リョウ
BOOK'S SELECTION
カタストロフからの哲学 — ジャン=ピエール・デュピュイをめぐって
渡名喜庸哲, 森元庸介 編著
以文社
2015年
“デュピュイによると、「未来」の必然性というのは、まさしくカタストロフが必ず生じることを現実的だとみなすということである。” ——— p.87(※「現実的」に傍点)
いつかは地震が起こる——私たちは「知っていた」はずだ。しかし「信じられた」だろうか。専門家は言った——こうすればリスクを軽減できる。しかし起こってしまった今、「事情に疎い」私たちは感じている——それは起こらざるを得なかったのだ。だからこそ、私たちはこの災厄と向き合わねばならない。未来から過去へ告げ知らせなければならない。私たちはこれからくる破局の前夜にいるのだ。「市井の」思想家デュピュイの「賢明なるカタストロフ論」への案内に。
羽鳥涼
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