“もうひとつの世界の実現をめざす私たちは、自分たちが決して敗北者ではないことを知るべきだ。”——— p.426
低賃金での労働、不安定な雇用契約、容赦のないリストラ……莫大な利益をその懐に流し込もうともくろむ企業らは、自らの利益追求のためならその手段をいとわない。わたしたちの生活の隅々にまで入り込んでくるブランド(企業)が、わたしたちの世界をいかに巧妙な手口を用いて奪い去っているかをこの本は教えてくれる。同時に、わたしたちがそうして広がる魔の手に対して無力なのではないこと、どう抵抗し、闘ってゆくべきかを示してくれる。
ゆき
BOOK'S SELECTION
権利のための闘争
イェーリング 著; 村上淳一 訳
岩波文庫
1982年
“具体的な権利は抽象的な法から生命と力を受け取るだけでなく、抽象的な法にそのお返しをするのである。” ——— p.80
個人的に「権利」は、「法律によって決められた抽象的なルール」というイメージだった。実体のない、空っぽな理念 だと。本書を読んだ。その実体なき権利感覚は、自分の生活 が侵害されて、ようやく身体に刻まれるのだと。他者の不当な介入への怒り、苦しみの感情がその兆候であると。そして、 理念は市民が現状を認識しようとする意思から初めて生まれるのだと。空虚な「権利」という言葉に価値を与えるのは、 紛れもなく当の僕自身だったのだと学んだ。
Dai
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