“こうして人間が生まれていくのだ。何度も何度も、それがいったいどんな存在なのかを私たちはいまだ知りえないとしても。”——— p.95
9.11と「テロとの戦い」以後、人命は悲嘆すべき死と価値のない死に振り分けられた。国家は哀悼を占有し、痛みを絶やすためにと、実際には暴力を増やしていく。そうすれば可傷性も否定した「自律的な主体」が保存されるかのように。しかし引き裂かれた私たちは、喪失の体験を共有することで人間へと帰り、出会い、別の未来に届く。台無しにしあうことさえ私たちの可能性なのだ。自主検閲と反知性主義に抗い、生への感覚を取り戻すための書。
うめてん
BOOK'S SELECTION
沖縄戦が問うもの
林博史 著
大月書店
2010年
“戦争責任をとるということは、言葉で謝るだけではなく、同じ過ちをくりかえさないように政治社会を作りなおすことではないだろうか。” ——— p.159
戦争の経過。死者数の羅列。戦場の名前。それだけでは重要なことが切り落とされるだろう。そこには、違う背景を持った他の誰でもない一人一人が存在したという事。その戦争でそういった「個人」の命や尊厳が奪われた事。唯一の地上戦が行われた沖縄戦。そこから学ぶべきは、軍や政府という 「組織」が進めた戦争に、どのような「個人」が巻き込まれていったのかということだろう。それに対する想像力が同じ過ちをくりかえさないための社会を作る。
いたる
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