生のあやうさ — 哀悼と暴力の政治学

以文社 2007年
ジュディス・バトラー 著; 本橋哲也 訳


“こうして人間が生まれていくのだ。何度も何度も、それがいったいどんな存在なのかを私たちはいまだ知りえないとしても。”——— p.95

9.11と「テロとの戦い」以後、人命は悲嘆すべき死と価値のない死に振り分けられた。国家は哀悼を占有し、痛みを絶やすためにと、実際には暴力を増やしていく。そうすれば可傷性も否定した「自律的な主体」が保存されるかのように。しかし引き裂かれた私たちは、喪失の体験を共有することで人間へと帰り、出会い、別の未来に届く。台無しにしあうことさえ私たちの可能性なのだ。自主検閲と反知性主義に抗い、生への感覚を取り戻すための書。

うめてん

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