“伝えなければ。世界のどこかにあたしたちの悲鳴が残されなければ。”——— p.480
第二次世界大戦時、ソ連では百万人を超える女性が従軍し、 後方部隊のみならず兵士として武器を手に闘った。しかし戦後、彼女たちは黙秘した。理屈や祖国の英雄的歴史として戦 争を語る男たちと違い、女たちは個人的で内的な体験や記憶として戦争を語る。そしてそれは、聞くに値しないものとさ れてきた。著者は、女たちの語る生の声を術として、戦争の暗闇の中に人間の本性を掴みとり、突きつけた。2015 年、 その仕事はノーベル文学賞を与えられた。
かりん
BOOK'S SELECTION
憲法主義 — 条文には書かれていない本質
内山奈月, 南野森 著
PHP研究所
2014年
“憲法とは、時の権力者に「この憲法に従って行動しろ」と命令するものです。” ——— p.223
憲法学の研究者とアイドルとの授業構成での対談。 日本の政治で唯一国民が国家を制限できる法、憲法。憲法が絶対的である理由や、絶対的であるはずなのにその内容は解釈次第である不完全さ。立憲主義の定義や歴史、現状、過去の実例や、最高裁判所、内閣、国会と憲法との関係が丁寧に語られる。他国との比較によって、日本での憲法の独自性も分かりや すく書かれている。基本的な情報を知りたい、憲法に初めて触 れる人にも分かりやすい一冊。
Cocoro Tany
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