“日本人がアジアを主体的に考える日は、まだ来ていない。” ——— p.110
西欧の「自由」や「平等」という文化価値の非西欧への浸透は、植民地侵略といった武力を伴ってのものだった。 それにより、その価値自体は弱くなってしまった。その弱さが「そうはいっても、こう」という二枚舌、つまり「平等」 を唱えながらの搾取といったことを正当化している。どうしたら、「自由」や「平等」といった価値が、意味あるものとして力を取り戻し、全ての人のものになるのか。日本の「近代化」を再検討し、その方法を問い直す評論集だ。
これつ
BOOK'S SELECTION
人間の条件
ハンナ・アレント 著 ; 志水速雄 訳
ちくま学芸文
1994年
“そこで私が企てているのは大変単純なことである。すなわち、それは私たちが行っていることを考える以上のものではない。” ——— p.16
アレントは“thoughtlessness”(思考欠如)こそ現代の特徴だと言う。われわれはいったいなにもので、いつ、どこで、なにをしているのかを知らないし、知ろうともしない。知りたくもないから。だからわれわれは、知らない間に、なにか最悪のことに手を貸してしまっているのかもしれない。このような思考の欠如は何を生んだか。アイヒマンを、アウシュヴィツを、大量虐殺を生んだ。自らを知ろうとすることは、哲学は、役に立たないのか? 否、それは最悪の事態を回避するのに役立つのだ。
UCD
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