“ドキュメンタリー写真は、人間の尊厳をいかに表現するかという行為であると同時に、レンズがいかにプライバシーを侵害するかという、二律背反によってのみ成立する両刃の剣である。”——— p.23
「表に出ないものを引っ張り出してたたきつけてやりたい。」報道写真家、福島菊次郎の人間の生と向き合うことへの覚悟 と執念を表している言葉だ。空がピカッと光ったあの日から、 キノコ雲で覆い隠されたヒロシマとナガサキの街で、何が起 きていたのか。「被ばく者」と一括りでは語ることのできない戦後を生き抜いた一人一人の生き様が映し出されている。 これは、身体も心も蝕まれ、国に裏切られたとしても、命を燃やし続けた人びとの生きた証である。
さくら
BOOK'S SELECTION
独立国家のつくりかた
坂口恭平 著
講談社現代新書
2012年
“路上生活者たちは単純に「生きるとは何か」について考えた。それは今では哲学と呼ばれているようなことかもしれない。” ——— p.43
「現実的に考えろ、食えなくなるぞ」 ―ならば実際に考えてみよう。 あなたは素っ裸で東京のど真ん中に放りだされてしまった。 さあ、どうしよう。 死ぬしかないのか。 しかしあなたはきっと考える。 「どうやって生き抜こう」真の思考の始まりだ。 段ボールは家の材料になる。 プラスチックケースはお風呂だ。 路上で暮らす人々は実際そうやって生活してきた。 彼らは生きる知恵を持っている。 でも私たちだってそんな知恵を持っていたはずだ。 布団が秘密基地だった、ビー玉が宝石だったあの頃。
羽鳥涼
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