“わたしたちにはかすかなメシア的な力が付与されていることになる。過去はこの力が発揮されることを要求しているのだ。”——— p.46
ナチスに追われ亡命していたその危機の中で、「歴史」につい て書き残されたこの著作を戦後71年目のこの国でいま、この時 に読むこと。それは現在の時が危機にある時には「過去」もまた 危機にあり、そしてそれを救うことが出来るのもまた「いま」に いる「わたしたち」だと、気づかせてくれることだ。「歴史修正主義」 と言われる政治状況に対して、わたしたちは過去に、歴史に対し てどう向き合って行くべきなのか。その強いヒントをこの一冊は、 素晴らしい、真摯な訳と共に与えてくれる。
平葉
BOOK'S SELECTION
[新版]ブランドなんか、いらない
ナオミ・クライン 著; 松島聖子 訳
大月書店
2009年
“もうひとつの世界の実現をめざす私たちは、自分たちが決して敗北者ではないことを知るべきだ。” ——— p.426
低賃金での労働、不安定な雇用契約、容赦のないリストラ……莫大な利益をその懐に流し込もうともくろむ企業らは、自らの利益追求のためならその手段をいとわない。わたしたちの生活の隅々にまで入り込んでくるブランド(企業)が、わたしたちの世界をいかに巧妙な手口を用いて奪い去っているかをこの本は教えてくれる。同時に、わたしたちがそうして広がる魔の手に対して無力なのではないこと、どう抵抗し、闘ってゆくべきかを示してくれる。
ゆき
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