“人間の尊厳を基盤にした安全保障は、単に、沖縄の現実を変革するために必要とされているわけではない。同時にそれは日本という国全体として模索していくべき安全保障のあり方を指し示すものとしてもある。”——— p.13
シリーズ「日本の安全保障」(岩波書店)の第4巻である本書 は、日本と沖縄の相克を沖縄の歴史、平和憲法、基地をめぐる諸 問題、ジェンダー、アメリカ政治、国際法、沖縄の自律構想、東 アジアの視点から説く本である。日本の安全保障において過重な負担が置かれている沖縄を基軸に据えるというパラダイムシフト 的試み。「日本の安全保障」とは一体何なのか。沖縄は含まれているのか。いま、「日本人」がもう一度考え直すべき言葉を、直視しなければならない場所から問い直す。
元山仁士郎
BOOK'S SELECTION
生活保障 — 排除しない社会へ
宮本太郎 著
岩波新書
2009年
“生活保障とは何か。それは、雇用と社会保障をむすびつける言葉である。” ——— p.IV
現在日本には、非正規雇用やワーキングプアの増加、年金など社会保障制度の先細りなど、生活保障をめぐるさまざまな問題がある。こういった状況になって久しいためか、よい 打開案も浮かびづらい。この本は他国の例を示したのち、それを日本にそのまま適用しようとするのではなく、日本の現状に合った形のビジョンを打ち出している。生活や将来に不安を感じる全ての人におすすめしたい本である。政治家によりよい社会を求めるとき、役に立つだろう。
幸子
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