“人間の尊厳を基盤にした安全保障は、単に、沖縄の現実を変革するために必要とされているわけではない。同時にそれは日本という国全体として模索していくべき安全保障のあり方を指し示すものとしてもある。”——— p.13
シリーズ「日本の安全保障」(岩波書店)の第4巻である本書 は、日本と沖縄の相克を沖縄の歴史、平和憲法、基地をめぐる諸 問題、ジェンダー、アメリカ政治、国際法、沖縄の自律構想、東 アジアの視点から説く本である。日本の安全保障において過重な負担が置かれている沖縄を基軸に据えるというパラダイムシフト 的試み。「日本の安全保障」とは一体何なのか。沖縄は含まれているのか。いま、「日本人」がもう一度考え直すべき言葉を、直視しなければならない場所から問い直す。
元山仁士郎
BOOK'S SELECTION
文化と帝国主義〈1〉
エドワード・W・サイード 著; 大橋洋一 訳
みすず書房
1998年
“いかなる文化も単一で純粋ではない。すべての文化は雑種的かつ異種混淆的で、異様なまでに差異化され、一枚岩的ではないのだ。” ——— p.26
「文化」という言葉を使う時、何が表されるのか?それは「私たち」と、「彼ら」を分けるものになってはいないか。文化が他者を排除するために使われて来てしまったことを見据えながら、この本はその力について問いかける。それは、この時代に生きる誰もが「重なり合う領土、絡まり合う歴史」の中で生きているということを知りながら、それでも 「『私たち』についてだけではなく、他者について、具体的に、共感をこめて、対位法的に考える」こと。その想像力を私たちにもたらすものだ、と。
平葉
POST(ポスト)は、様々なかたちで日本の政治や選挙について考えるきっかけを提供するウェブサイトです。