「選挙?正直興味ないわ」。あなたはそう思うだろうか。僕はそう思う。正直興味ない。というか、もっと面白いことはこの世の中に腐るほどあるし、もしも選挙について考えたり、こうやって書いたりしなくていいのであればそうしたい。そんなことを思いながら、なんで選挙について考えなきゃいけないのかを根本的に考えてみることにしたい。
選挙で何を選ぶのか?もちろん政治家だ。政治家とは誰か。それは国のルール(法)をつくる場所(国会)で、どんなルールを決めたらいいのか、僕らの「代」わりに「議」論をする人たちだ。だから政治家のことを「代議士」と呼んだりする。つまり、僕らの「代表」というわけだ。
じゃあ「代表」ってなんだろうか。英語では Representationというらしい(ちなみに「代議制」も英語でRepresentative systemというらしい)。Representationという語はさまざまな意味をもち、日本語では「代表」「表現」「表象」などと訳されるが、よくわからないので言葉のつくりを見てみよう。Re(再び)present(提出する)ation(名詞化)となっている。つまりはそこにはないんだけども、それを他のもので再現したもののことを言う。
例えば、Presentationをするなら実際のネコを連れてこないといけないわけだけど、Re-presentationなら実際のネコがいなくても絵を書いたり、「ネコ」と表記したりすれば、人間という動物はそこにあたかも本当にネコがいるかのようにイメージすることができる。ということは、どうやら僕らのRe-presentation(代表)である政治家もこの絵に書いたネコのようなものらしい。そこに本当は存在しないものが、代わりに表現されているのだ。
確かに「民意」「民意」とよく言われるが、それはどこにもない。触れないし、見たこともない。だから「民意」に形を与え、代わりに表現しなければならない。それが政治家なのだ。つまり政治家とは具現化された「民意」だ。僕らの意思が、僕ら自身があの形となって代わりに表れている。
さて、テレビを見てみよう。国会中継を映し出している。法案についての議論だ。野党が法案の問題点を追求する。与党の返答はあいまい。寝ている議員。隣の議員と談笑する議員。彼らは議論に興味がない。それからこの国の未来にも。またヤジが飛び交う。まるで議論にならない。そこには誰がいるか。(文頭にもどる)