最近ちらほらと、南スーダンに自衛隊が行くことになるというニュースが流れています。
けれど、正直そこで何をするのかわからない。そもそも南スーダンってどんなところなんだろう。事件が起きていると聞くし、戦争に巻き込まれる心配はないのかな? 国連PKO?と一緒に行動するらしいから、大丈夫なのかな……? などなど、疑問に思う人も多いのではないでしょうか。
ニュースって複雑だったり予備知識が必要だったりで、どこから知っていけばいいかわからないことも多いですよね。
そんなわけで、これからこの連載を通し、順序を追って説明していこうと思います。
今回はまず、いま南スーダンでは一体何が起きているのか、どうしてそうなったのかをざっくりとお話ししていきます。
南スーダンでは、だれとだれが戦っている?
南スーダンではいま、大統領のサルバ・キールを中心とする「南スーダン政府軍」と、元副大統領のリアク・マシャールの「反政府勢力」同士の戦闘が起きています。
二人ともスーダンの代表的な民族の出身で、大統領のサルバ・キールは最も大きい部族の「ディンカ族」、元副大統領マシャールは2番目に人口が多い「ヌエル族」の出身で、戦闘はこの二つの部族どうしの争いに発展しています。
なぜ内戦が始まったのか
南スーダンは、2011年にスーダンから独立したばかりの世界で一番新しい国家です。その独立の時に、中心人物となったキール大統領と、マシャール元副大統領が仲違いを起こし内戦のきっかけを作りました。
2013年7月、南スーダンのキール大統領が石油利権をめぐって副大統領のマシャールを突然解任。そのことから、元副大統領マシャールが所属する「ヌエル族」から、キール大統領の所属する「ディンカ族」に対しての反発が強くなっていきました。
その反発は2013年12月に、キール大統領が率いる「南スーダン政府軍」と、元大統領マシャール率いる「反政府勢力」同士の争いとなり、数千人が死亡、20万人以上が難民となりました。これが南スーダンの内戦の始まりです。
双方の武装グループは、相手部族が生活する村を襲い、略奪を繰り返しました。この内戦で何万人もの命が失われ、200万人以上もの人が住む場所を追われて難民状態に。
2014年には、戦闘を止める停戦の合意がなされましたが、その後もいたるところで戦闘・殺戮が続きました。そうした中、昨年の2015年8月に和平協定が結ばれ、平和の定着に向かうと見られていましたが、今年7月7日から5日間にわたって南スーダンの首都ジュバで戦車やヘリが使われる大きな戦闘が起き、「内戦に逆戻り」しました。
この戦闘は、少なくとも270人が死亡、日本が参加する予定のPKO派遣部隊、中国隊員2人が死亡する激しいものでした。今南スーダンにいる自衛隊が宿泊していた場所の隣のビルで激しい銃撃戦が起きたと伝えられています。
One UN Peacekeeper from China Killed, Six Injured in South Sudan Mission
それから現在まで、状況は非常に不安定なまま、殺戮や強奪、性的暴行など、深刻な人道的問題が起こっています。数多くの村が焼き払われ、今日までに新たに20万人が難民となったと伝えられています。
10月11日には、首都ジュバ近くで武装グループによる襲撃が横行し、21人が死亡、国連は「暴力行為が急増している」と警鐘を鳴らしています。
まとめ
以上のように、南スーダンではこれまでにない激しい戦闘が起きています。国連による報告書によれば、「現在進行中の紛争」によって政府軍と反政府勢力双方による民間人の虐殺、性的暴行、誘拐、強制移動、村の焼き討ち、略奪、子どもを含む強制徴兵など「おびただしい人権侵害と重大な国際人道法違反が生じている」と指摘されています。
こうした状況を、日本政府はどのように見ているのでしょうか。次回は日本政府の対応について見ていきます。
「内戦状態に戻っている」 南スーダンで活動のNGO
南スーダン難民100万人突破 UNHCR発表、戦闘再燃で急増
「南スーダン首都近郊で車両襲撃、21人死亡 反政府勢力の犯行か」AFP通信
動画 「南スーダンで何が起きているのか?」What’s happening in South Sudan?-BBC NEWS