“――いいじゃないか、そんなこと。ぼくはきみにそばにいてもらいたいんだ。だから、びりになる。”——— p.48
転校してきた四年一組の教室で、始が見たのは、透き通った男。それはびりっかすの ところにだけ現れる神様だった。 学校教育に競争原理を持ち込み、子どもたちを競わせ、教室や地域の中に格差をつくることに、いったいどんな意味があるだろうか?「もっとがんばれ」と言う大人の思惑とは裏腹に、「神様」を見たいがためにびりになることに夢中になる子どもたち。やがて彼らは、一番になるために頑張ることよりもっと大事なことを、教室の中で見つけていく。
内山望
BOOK'S SELECTION
戦争は女の顔をしていない
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 著; 三浦みどり 訳
岩波現代文庫
2016年
“伝えなければ。世界のどこかにあたしたちの悲鳴が残されなければ。” ——— p.480
第二次世界大戦時、ソ連では百万人を超える女性が従軍し、 後方部隊のみならず兵士として武器を手に闘った。しかし戦後、彼女たちは黙秘した。理屈や祖国の英雄的歴史として戦 争を語る男たちと違い、女たちは個人的で内的な体験や記憶として戦争を語る。そしてそれは、聞くに値しないものとさ れてきた。著者は、女たちの語る生の声を術として、戦争の暗闇の中に人間の本性を掴みとり、突きつけた。2015 年、 その仕事はノーベル文学賞を与えられた。
かりん
POST(ポスト)は、様々なかたちで日本の政治や選挙について考えるきっかけを提供するウェブサイトです。