“一見すると個人的にみえる応答の仕方であったとしても、そこに社会変革への道が拓かれるのだ”——— p.358
夫との不仲に悩む専業主婦の女性が、子どもの将来と、再就職への不安、両親の介護を考え、離婚を諦めた。 近代的なリベラリズムの個人観に当てはめれば、彼女は「未熟で判断能力がない個人」である。 一方、「自立した個人」とされる夫は、妻のサポートを無自覚に享受する。 私たちは、生まれてから死ぬまで誰かに依存し、他者のケアなしには生きられない。 そのあまりに普遍的で、しかし大文字の政治学が忘れ去った大前提から社会構想を考える。
大澤 茉実
BOOK'S SELECTION
定常型社会 — 新しい「豊かさ」の構想
広井良典 著
岩波新書
2001年
「ではどうすればいいのか?」 ――この問いを正面から考えていく必要がある。” ——— p.6
「成長」という目標の追求は、現代社会の人々の豊かさや幸福の源となっているだろうか。 「再分配政策を通じた成長」という構造ではなくパイの拡大= 経済成長とし、経済成長をナショナリズムとも関連させてきた 戦後日本の文脈。福祉国家と経済成長は相反しない。市場への自由放任とケインズ主義的積極財政の対立とは「(経済)成長志 向」という点では同じ土俵に立っている。現代日本の経済の思考を読みとき示される「ではどうすればいいのか?」
和葉
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