“一見すると個人的にみえる応答の仕方であったとしても、そこに社会変革への道が拓かれるのだ”——— p.358
夫との不仲に悩む専業主婦の女性が、子どもの将来と、再就職への不安、両親の介護を考え、離婚を諦めた。 近代的なリベラリズムの個人観に当てはめれば、彼女は「未熟で判断能力がない個人」である。 一方、「自立した個人」とされる夫は、妻のサポートを無自覚に享受する。 私たちは、生まれてから死ぬまで誰かに依存し、他者のケアなしには生きられない。 そのあまりに普遍的で、しかし大文字の政治学が忘れ去った大前提から社会構想を考える。
大澤 茉実
BOOK'S SELECTION
ぼくらの民主主義なんだぜ
高橋源一郎 著
朝日新書
2015年
“ぼくたちは、ぼくたちの「民主主義」を自分で作らなきゃならない。” ——— p.254
私事だが、ここ数年納得のいく作品がつくれていない。しかし、迷いながらも路上でシャッターを切り続け、あらためて言葉や学びや知識に貪欲になり、そうして自らの表現に立ち返った時、巷の光景が少しずつ広がる気がした。恐らくは誰もが、迷い悩み、現実を疑い、信ずるべきものを手探りで求めている。それでもなお、真摯にこの現実と対峙し、思考し続けることが、私たちの人間性を回復し、民主主義を創造する方法でありチャンスなのだと本書が実践し、証明してくれている。
ゆいぽよ
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