“「どうしてブツブツ言うの、パパ、気分でも悪いの?」。少し後で、瀕死の者の平手打ちを受ける前に、息子は父親の顔をしげしげと見る——何事も語らない顔を。これは現代の寓話だ。”——— pp.235-236
全ての親は、もともと子である。 子を産めば簡単に親になれるわけではない。 親になるためには、まず自分が「自分はなんでもできて、なんでも要求できる」 という子の立場を放棄して、大人にならなければならない。 しかし、今の親はどうだろう。 モンスターペアレンツのような全能性に取り憑かれたような親ばかりだ。 そして、子としての要求を自分の子に押し付ける。 叶わなければ平手打ちをする。 何も言わずに。 暴力は語らないのだ。 その子はいったいどうなるのか。 ドグマ人類学への入り口。
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BOOK'S SELECTION
政治的なものの概念
C. シュミット 著; 田中浩, 原田武雄 訳
未來社
1970年
“政治的な行動や動機の基因と考えられる、特殊政治的な区別とは、友と敵という区別である。” ——— p.15
道徳的なものは善と悪を、美的なものは美と醜を、経済的な ものは利と害を区別して考える。では、政治は? 政治は友と敵を区別し、最悪の場合、殺しあう。政治こそが最も根本的な対立なのだ。そう言ったのは一時的にナチスに加担したシュミットだった。しかしそれは、無視していい過去の遺産ではない。 政治的なものは未だに譲れないもの同士の戦いとして続いてい る。「敵」との対話可能性を探るために、まずシュミットと格 闘しよう。シュトラウスの注解も併せて読まれたい。
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