“そこで私が企てているのは大変単純なことである。すなわち、それは私たちが行っていることを考える以上のものではない。”——— p.16
アレントは“thoughtlessness”(思考欠如)こそ現代の特徴だと言う。われわれはいったいなにもので、いつ、どこで、なにをしているのかを知らないし、知ろうともしない。知りたくもないから。だからわれわれは、知らない間に、なにか最悪のことに手を貸してしまっているのかもしれない。このような思考の欠如は何を生んだか。アイヒマンを、アウシュヴィツを、大量虐殺を生んだ。自らを知ろうとすることは、哲学は、役に立たないのか? 否、それは最悪の事態を回避するのに役立つのだ。
UCD
BOOK'S SELECTION
権利のための闘争
イェーリング 著; 村上淳一 訳
岩波文庫
1982年
“具体的な権利は抽象的な法から生命と力を受け取るだけでなく、抽象的な法にそのお返しをするのである。” ——— p.80
個人的に「権利」は、「法律によって決められた抽象的なルール」というイメージだった。実体のない、空っぽな理念 だと。本書を読んだ。その実体なき権利感覚は、自分の生活 が侵害されて、ようやく身体に刻まれるのだと。他者の不当な介入への怒り、苦しみの感情がその兆候であると。そして、 理念は市民が現状を認識しようとする意思から初めて生まれるのだと。空虚な「権利」という言葉に価値を与えるのは、 紛れもなく当の僕自身だったのだと学んだ。
Dai
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