“筆者は本書を「夢を語ろうと思う」という言葉で始めた。”——— p.235
著者が再三繰り返すように、これは夢についての本である。民主主義にまつわる思想や哲学を、丁寧かつ平易に解説しながら、かつてルソーによって夢見られた「一般意志」という概念などに、現代において何を夢見ることができるかが模索されている。多くの夢と同様、それらは儚く、読み進めるにしたがって、無数の疑問を抱かされる。その疑問を切っ掛けに、読者自身の、民主主義についての夢想と思索が始まる。本書はその入り口へのよき案内人となる 。
黙字
BOOK'S SELECTION
荒れ野の40年 — ヴァイツゼッカー大統領ドイツ終戦40周年記念演説
リヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカー 述; 永井清彦 訳
岩波ブックレット
2009年
“しかし、過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目になります。” ——— p.11
ドイツが第二次世界大戦に敗れた40年後、「もう過去の傷を開きたくない」と口にして、「過去」の出来事に耳を塞ぎ目を閉ざそうとした人たちがいた。そんな空気に一石を投 じたのは当時の大統領ヴァイゼッカーによる終戦40周年 演説だった。「過去」は「過ぎ去った」忘れていい出来事であってはならない。私たちが、そして私たちより前の世代の人たちが何をしたのかを学ぶこと、これが本当の意味で「未来」に向かって歩を進めることだ。
まっしゅ
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