“加害と被害の溶融という新しい地平から、人間であることに対する深い問いが生まれてきます。”——— p.30
水俣の運動史から「存在」が現れ「新しい人間像」が浮かび上がる。 中央と周辺に分かれた人々は、それぞれの立場からの視点で生を捉えようとする。 視線が交差するグレイゾーンで踏みとどまると、お互いに一方的なこの視線が溶け合うような生が表れる。 他者を支配する権力位置を離脱して、あるがままの人間として肩を並べて加害と被害のグレイゾーンを突破していく。 オキナワ・フクシマにも通ずる“まなざし”をこの本から養いたい。
みつ
BOOK'S SELECTION
ブラック企業2 — 「虐待型管理」の真相
今野晴貴 著
文春新書
2015年
“ブラック企業問題は、一過性の問題ではなく、 日本の企業社会の一部が変質し始めているという問題だ” ——— p.158
今や日本社会全体に普及した「ブラック企業」。それはなぜ、いかにして生み出され、はびこるのか。前半には具体的な現場の労働相談の生々しい事例を交えながらその「戦略」 が解説され、後半では社会全体が「ブラック化」している様が明らかになる。本書から私たちが学ぶべきは、日本の労働世界と「成長物語」の本質的転換が急務であり、それは働く者一人一人にかかっているということだ。民主主義の種は、 今も私たちが働く「足元」に眠り続けている。
OCI
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