
“「自分の理性を使う勇気をもて」”——— p.10
題名を見て食傷めいたものを感じた。平和という言葉は、歴史の中で弄ばれ続けた結果、手垢にまみれ、陳腐な響きすら帯びてしまった。しかし、本書の中で使用されるこの言葉は、潔白で、危険に満ちて、瑞々しい。それは、お仕着せの決まり文句としてではなく、人類の肯定を目的に、カント自身が考え、紡ぎだした言葉だからだろう。彼は本書で、自ら思考することを説き、実践している。孤独な思考を通して、議論し合うための自分の言葉を産み出そう。
黙字光文社古典新訳文庫 2006年
カント 著; 中山元 訳
“「自分の理性を使う勇気をもて」”——— p.10
題名を見て食傷めいたものを感じた。平和という言葉は、歴史の中で弄ばれ続けた結果、手垢にまみれ、陳腐な響きすら帯びてしまった。しかし、本書の中で使用されるこの言葉は、潔白で、危険に満ちて、瑞々しい。それは、お仕着せの決まり文句としてではなく、人類の肯定を目的に、カント自身が考え、紡ぎだした言葉だからだろう。彼は本書で、自ら思考することを説き、実践している。孤独な思考を通して、議論し合うための自分の言葉を産み出そう。
黙字“わたしは言葉を憎み、言葉を愛してきた。”
「言葉」で世界を征服しようとしたナチス政権下のドイツで、少女は「言葉」で尊厳を守ろうとする。 少女の家に匿われたユダヤの青年は、『我が闘争』を白く塗りつぶし、愛の物語を書き込む。 この人たちのことを私たちに語るのは、死神だ。連合軍がドイツの小さな町を空爆した日、少女と青年に尊厳と愛を教えた人々は殺された。 書かれた「言葉」も失われたが、死神が拾いあげたのだ。 この作品は、欧米で異例のロングセラーとなり、映画化もされている。
これつ