“そこかしこで人はこぞって声を張り上げた。だって、たかがフィクションではないか、と。”——— p.34
チュニジア出身の精神科医で、現在パリⅦ大学教授の著者によってこの本が書かれたのは1994年。しかし2016年の今、ここに記された問題は一切古くなっていない。単なる「文学的フィクション」や「表現の自由」がなぜイスラームと衝突するのか。「西洋VSイスラーム」という単純な図式ではなく、両者が拠って立つ「テクスト」という概念に着目して描かれるこの本は、シャルリ・エブドを嚆矢とする「テロ」事件、そして「原理主義」そのものを考えるために今こそ復刊され、読まれるべき本だ。
JGJ
BOOK'S SELECTION
ホロコーストからガザへ — パレスチナの政治経済学
サラ・ロイ 著; 岡真理, 小田切拓, 早尾貴紀 編訳
青土社
2009年
“復讐ではなく正義を追求しなければ。それしかないでしょう” ——— p.209
ホロコーストの被害者であるユダヤ人がなぜパレスチナ人を虐げるのか。そんな疑問から本書に出会った。戦後のユダヤ人にとってイスラエルこそが唯一安心できる場所だった。し かし同じくユダヤ人である著者はそのあり方に異議を唱える。 彼女はなぜイスラエルを批判するのか、答えは強制収容所から生還した母の信念にあった。他者への寛容さ、批判することの大切さなどユダヤ教の教義に触れる中で、現代日本に住む自分自身の生き方をも考えさせられる。
みき
POST(ポスト)は、様々なかたちで日本の政治や選挙について考えるきっかけを提供するウェブサイトです。