“伝えなければ。世界のどこかにあたしたちの悲鳴が残されなければ。”——— p.480
第二次世界大戦時、ソ連では百万人を超える女性が従軍し、 後方部隊のみならず兵士として武器を手に闘った。しかし戦後、彼女たちは黙秘した。理屈や祖国の英雄的歴史として戦 争を語る男たちと違い、女たちは個人的で内的な体験や記憶として戦争を語る。そしてそれは、聞くに値しないものとさ れてきた。著者は、女たちの語る生の声を術として、戦争の暗闇の中に人間の本性を掴みとり、突きつけた。2015 年、 その仕事はノーベル文学賞を与えられた。
かりん
BOOK'S SELECTION
永遠平和のために — 啓蒙とは何か : 他3編
カント 著; 中山元 訳
光文社古典新訳文庫
2006年
“「自分の理性を使う勇気をもて」” ——— p.10
題名を見て食傷めいたものを感じた。平和という言葉は、歴史の中で弄ばれ続けた結果、手垢にまみれ、陳腐な響きすら帯びてしまった。しかし、本書の中で使用されるこの言葉は、潔白で、危険に満ちて、瑞々しい。それは、お仕着せの決まり文句としてではなく、人類の肯定を目的に、カント自身が考え、紡ぎだした言葉だからだろう。彼は本書で、自ら思考することを説き、実践している。孤独な思考を通して、議論し合うための自分の言葉を産み出そう。
黙字
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