“しかし、過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目になります。”——— p.11
ドイツが第二次世界大戦に敗れた40年後、「もう過去の傷を開きたくない」と口にして、「過去」の出来事に耳を塞ぎ目を閉ざそうとした人たちがいた。そんな空気に一石を投 じたのは当時の大統領ヴァイゼッカーによる終戦40周年 演説だった。「過去」は「過ぎ去った」忘れていい出来事であってはならない。私たちが、そして私たちより前の世代の人たちが何をしたのかを学ぶこと、これが本当の意味で「未来」に向かって歩を進めることだ。
まっしゅ
BOOK'S SELECTION
精神史的考察
藤田省三 著
みすず書房
1997年
“離脱の精神を含まぬ単純な『参加』主義は、『翼賛』という名に代表される左右大小さまざまの追従主義を生む。そのことは既に歴史が痛烈に教えている。” ——— p.256
「戦後日本の思想家」 と聞かれて真っ先に思い浮かぶのがこの藤田省三である。 彼は「日本思想」の研究者であり、「高度成長期」という時代を見る思想家である。 キーワードは「経験」、平たく言えば事物・事態との相互交渉そのものである。 藤田は時代にそれを喪失させる「管理」の圧制を見た。「テロルとの戦争」、セキュリティという名の「治安」が叫ばれる現代、日本の思想から私たちは学ぶところがあまりに多い。
古谷
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