“主権国家という近代的制度、そしてそこに埋め込まれた領域的権力が、著しい人権侵害を行う凶器となりうるという当たり前のことを忘れないでおきたい”——— p.6
昨年、安保法制を巡る議論において、しきりに平和や安全という言葉が使われた。「安全保障」と言うとき、必然的に国家が前提とされる。しかし、それは必ずしも私たち個人の 「安全保障」ではない。国家は国家であるがために「敵」や「他者」を必要とし作り出す。そしてそのために平和や安全という言葉が使われる。本書は、従来の議論では不可視化されてきた、中央に対する周辺から「安全保障」を考えることで、新しい見方を私たちに提示してくれる。
けんと
BOOK'S SELECTION
公衆とその諸問題 — 現代政治の基礎
ジョン・デューイ 著; 阿部齊 訳
ちくま学芸文庫
2014年
“私たちは、受け入れるべきひとつの事実として、関係という事実を手にしたまま相変わらず出発点に立っているのである。” ——— pp.32-33
本書は、教育学者・哲学者として有名なジョン・デューイの国家論・民主主義論の代表的な一冊と言えるものである。 私たちは「国家」を語る時、その起源や本質を求めがちだ。しかしデューイにとってそれは、単一の起源や本質からでなく、人と人との「結合」、繋がりから国家を構想することだった。そして、しばしば問題視される「公衆」の「没落」についてのデューイの答えは、「もっと民主主義を」。今ここ、私たちから民主主義を始めよう。
SOB
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