“小説を読んだ私たちは想像することができる、彼、そして彼女が私たちの友人であり兄弟であり姉妹として傍らにあるような未来を。”——— p.311
世界が不条理に満たされている時に、文学は無力なのだろうか。本というものについて、少なくない意味を感じる者にとっては、一度は—あるいは、ずっと終わらない—問いに、アラブ文学者である著者は、その文学を読む中で問い続ける。 そうして紡ぎ出される著者の真摯としか言う他ない言葉それ自体が、その応答に思える。 どれほど望みのない状況であっても、文学は、人間が人間であるために存在し続ける、祈りのように。 「世界に記憶されることのない小さき人々の尊厳を想い、文学は祈りになる。」
JGJ
BOOK'S SELECTION
戦争プロパガンダ10の法則
アンヌ・モレリ 著; 永田千奈 訳
草思社文庫
2015年
“戦争プロパガンダは「戦時中」だけでは なく、「開戦前」から始まっているのだ。” ——— p.102
戦争なんか起こるわけがない。きっと全ての戦争はそうした前提から始まる。しかし歴史上の事実として戦争は繰り返されてきた。それを起こしてきた言葉には共通点があると、この本は10の法則に纏めている。「我々は戦争をしたくはない」が、「敵側が一方的に戦争を望んでいる」。そして「この正義に疑問を投げ かける者は裏切り者」だ、「愛国心がない」といって戦争は止まらなくなる。この国でまた「仕方が無く」戦争を起こさないため、 その思考を止めないために、今こそ読まれるべき一冊。
平葉
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