“おるがごつ、海のぶえんの魚ば、朝に晩に食うて栄華しよるもんが、なにが水俣病か――。”——— p.68
一九六一(昭和三六)年。不知火海(八代海)に面し、はるか沖には天草諸島を望むその地にて、ある病が「発見」された。海と共にその地で暮らす人々は、工場排水に含まれるメチル水銀に毒された魚を食したことにより、次々と非業の死を遂げていった。記録やルポルタージュの域は超え出ている。本書は、著者石牟礼道子が「近代への呪術師」となるべく、いまだ故郷に立ち迷う死霊や生霊の言葉を背負い綴った、土地の匂いが濃く立ち昇る魂の文学である。
KBTK
BOOK'S SELECTION
右傾化する日本政治
中野晃一 著
岩波新書
2015年
“二〇年以上前に「政治の自由化」として始まっ た新右派転換が、いつしか今日の「反自由の政治」 をもたらしたプロセスを解明することが本書の ねらいである。” ——— p.26
憲法が蔑ろにされ、人々の生活が脅かされ、政府は民主的なプロセスを行使することさえ放棄している。2015年の夏何度も思った、「一体この国で何が起こっているのか」。本書はそのような問いに応えうるものの一つといえるだろう。 ここでは、この国の政治がかつて標榜した「政治の自由化」が、現在行われている「反自由の政治」を生み出してしまっ た経緯について、丹念に眺められている。絶望的なこの社会 のオルタナティブを考えるうえで、必読の書。
信和
POST(ポスト)は、様々なかたちで日本の政治や選挙について考えるきっかけを提供するウェブサイトです。