“おるがごつ、海のぶえんの魚ば、朝に晩に食うて栄華しよるもんが、なにが水俣病か――。”——— p.68
一九六一(昭和三六)年。不知火海(八代海)に面し、はるか沖には天草諸島を望むその地にて、ある病が「発見」された。海と共にその地で暮らす人々は、工場排水に含まれるメチル水銀に毒された魚を食したことにより、次々と非業の死を遂げていった。記録やルポルタージュの域は超え出ている。本書は、著者石牟礼道子が「近代への呪術師」となるべく、いまだ故郷に立ち迷う死霊や生霊の言葉を背負い綴った、土地の匂いが濃く立ち昇る魂の文学である。
KBTK
BOOK'S SELECTION
オリジンから考える
鶴見俊輔, 小田実 著
岩波書
2011
“大きな人間を引っくり返すのは、小さな人間です。” ——— p.235
世の中は絶えず、世直しをしていかなければならない。 その世直しをするのは、「小さな人間」だ。 小さな人間とは、「デモクラシー」の語源「デモス(人々)」のことである。 この本は、小田実の晩年の講演、未完の小説「トラブゾンの猫」、鶴見俊輔の講演、架空対談を収録している。 「大きな人間」の横暴を是正し、社会を手入れしていく「小さな人間」の営みが、未来をつくる。 ただの選挙主義ではない民主主義の中身を、豊かにイメージさせる言葉が詰まっている。
かりん
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