“おるがごつ、海のぶえんの魚ば、朝に晩に食うて栄華しよるもんが、なにが水俣病か――。”——— p.68
一九六一(昭和三六)年。不知火海(八代海)に面し、はるか沖には天草諸島を望むその地にて、ある病が「発見」された。海と共にその地で暮らす人々は、工場排水に含まれるメチル水銀に毒された魚を食したことにより、次々と非業の死を遂げていった。記録やルポルタージュの域は超え出ている。本書は、著者石牟礼道子が「近代への呪術師」となるべく、いまだ故郷に立ち迷う死霊や生霊の言葉を背負い綴った、土地の匂いが濃く立ち昇る魂の文学である。
KBTK
BOOK'S SELECTION
世界史の中のパレスチナ問題
臼杵陽 著
講談社現代新書
2013年
“イスラエル人であれ、パレスチナ人であれ、それぞれの立場から「平和」を求めているはずです。” ——— p.4
現代において最も深刻な民族紛争のひとつである、パレスチナ・イスラエル問題。 これは単なる宗教対立ではない。 世界が経験してきた歴史の縮図であり、近代国民国家が生み出した問題でもあり、 また、差別とは何かを私たちに問いかけるものでもある。 パレスチナ・イスラエルが語る歴史はあまりにも重く、 複雑で、今なお解決の糸口は見えてこない。 しかしだからこそ、このことを踏まえた上で、 現実を変えるために私たちは繰り返し考えていきたいのだ。
もえこ
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