“いかなる文化も単一で純粋ではない。すべての文化は雑種的かつ異種混淆的で、異様なまでに差異化され、一枚岩的ではないのだ。”——— p.26
「文化」という言葉を使う時、何が表されるのか?それは「私たち」と、「彼ら」を分けるものになってはいないか。文化が他者を排除するために使われて来てしまったことを見据えながら、この本はその力について問いかける。それは、この時代に生きる誰もが「重なり合う領土、絡まり合う歴史」の中で生きているということを知りながら、それでも 「『私たち』についてだけではなく、他者について、具体的に、共感をこめて、対位法的に考える」こと。その想像力を私たちにもたらすものだ、と。
平葉
BOOK'S SELECTION
写らなかった戦後 — ヒロシマの嘘
福島菊次郎 著
現代人文社
2003年
“ドキュメンタリー写真は、人間の尊厳をいかに表現するかという行為であると同時に、レンズがいかにプライバシーを侵害するかという、二律背反によってのみ成立する両刃の剣である。” ——— p.23
「表に出ないものを引っ張り出してたたきつけてやりたい。」報道写真家、福島菊次郎の人間の生と向き合うことへの覚悟 と執念を表している言葉だ。空がピカッと光ったあの日から、 キノコ雲で覆い隠されたヒロシマとナガサキの街で、何が起 きていたのか。「被ばく者」と一括りでは語ることのできない戦後を生き抜いた一人一人の生き様が映し出されている。 これは、身体も心も蝕まれ、国に裏切られたとしても、命を燃やし続けた人びとの生きた証である。
さくら
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