“いかなる文化も単一で純粋ではない。すべての文化は雑種的かつ異種混淆的で、異様なまでに差異化され、一枚岩的ではないのだ。”——— p.26
「文化」という言葉を使う時、何が表されるのか?それは「私たち」と、「彼ら」を分けるものになってはいないか。文化が他者を排除するために使われて来てしまったことを見据えながら、この本はその力について問いかける。それは、この時代に生きる誰もが「重なり合う領土、絡まり合う歴史」の中で生きているということを知りながら、それでも 「『私たち』についてだけではなく、他者について、具体的に、共感をこめて、対位法的に考える」こと。その想像力を私たちにもたらすものだ、と。
平葉
BOOK'S SELECTION
アラブ、祈りとしての文学
岡真理 著
みすず書房
2006年
“小説を読んだ私たちは想像することができる、彼、そして彼女が私たちの友人であり兄弟であり姉妹として傍らにあるような未来を。” ——— p.311
世界が不条理に満たされている時に、文学は無力なのだろうか。本というものについて、少なくない意味を感じる者にとっては、一度は—あるいは、ずっと終わらない—問いに、アラブ文学者である著者は、その文学を読む中で問い続ける。 そうして紡ぎ出される著者の真摯としか言う他ない言葉それ自体が、その応答に思える。 どれほど望みのない状況であっても、文学は、人間が人間であるために存在し続ける、祈りのように。 「世界に記憶されることのない小さき人々の尊厳を想い、文学は祈りになる。」
JGJ
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