
“わたしは言葉を憎み、言葉を愛してきた。”——— p.659
「言葉」で世界を征服しようとしたナチス政権下のドイツで、少女は「言葉」で尊厳を守ろうとする。 少女の家に匿われたユダヤの青年は、『我が闘争』を白く塗りつぶし、愛の物語を書き込む。 この人たちのことを私たちに語るのは、死神だ。連合軍がドイツの小さな町を空爆した日、少女と青年に尊厳と愛を教えた人々は殺された。 書かれた「言葉」も失われたが、死神が拾いあげたのだ。 この作品は、欧米で異例のロングセラーとなり、映画化もされている。
これつ早川書房 2007年
マークース・ズーサック 著; 入江真佐子 訳
“わたしは言葉を憎み、言葉を愛してきた。”——— p.659
「言葉」で世界を征服しようとしたナチス政権下のドイツで、少女は「言葉」で尊厳を守ろうとする。 少女の家に匿われたユダヤの青年は、『我が闘争』を白く塗りつぶし、愛の物語を書き込む。 この人たちのことを私たちに語るのは、死神だ。連合軍がドイツの小さな町を空爆した日、少女と青年に尊厳と愛を教えた人々は殺された。 書かれた「言葉」も失われたが、死神が拾いあげたのだ。 この作品は、欧米で異例のロングセラーとなり、映画化もされている。
これつ「テロとの戦争」なるものを設定することで、 アメリカは「戦争」を発動する国家が負うべきいっさいの責任を投げ出したのだ。”
アメリカ政府が9.11以降に始めた「テロとの戦争」を鋭く批判している著作。「テロリスト」は、たとえ何も起こしていなくとも、事前に排除しなければならない。「テロリスト」であれば、人権や人道的扱いせずに、どんな手段で殲滅しても構わない。そして、市民は常にテロに対抗しなければならない。本書はこうした「テロとの戦争」のレトリックの暴力性を暴き出している。10年以上前の著作ではあるが、昨今のテロを考える上でも示唆に富む内容である。
ユリヤ