“心は、なにものにもへだてられることなく、ほかの人の心にまでとどきます。”——— p.4
戦地から離れて過ごしたミリーにとっての三日間は、戦地に残った母の過ごした30年間だった。 私たちは偶然にも1日を1日とし、1分を、1秒を、誰に奪われることなく生きることのできる場所で過ごしている。 あなたが愛する人と食事をし、笑い、眠りに就くまでの一日を、同じ命として生き残るために秒針が一つ先へ進む86400回分、命がけで過ごしている人たちがいる。 どこかでそれを知りながら、私たちはまた今日「一日」を過ごしている。
紅子
BOOK'S SELECTION
他者の苦痛へのまなざし
スーザン・ソンタグ 著; 北條文緒 訳
みすず書房
2003年
“あなたたちには理解できない。あなたたちには想像できない。” ——— p.127
日々膨大に流れる言語や写真、映像の情報を介して得る「他者の苦痛」。それらを目の当たりにし、反戦と平和、貧困や格差の是正、差別の撤廃を叫ぶ人々。そして目や耳を塞ぎ、傍観し、無用な批判や罵声を発する人々。けして誰も本当にはその苦痛をわかりはしない。本書は訴え、呼びかけ、問うている。私たちの失いかけた感受性を、想像力を、注意力を再び取り戻し、現状に抗い続ける意志を絶やしてはならない。いま、スーザン・ソンタグのいうラディカルの意味を自らに問い直したい。
ゆいぽよ
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