“安全保障のディレンマの克服から安定的な平和へ” ———p.309
本書は日本の安全保障を多面的に分析し、安全保障環境が激変する中で、日本がとるべき安全保障構想を唱えている。日米同盟の変遷や、米国の世界戦略と「積極的平和主義」との相互関係等を詳らかにした上で、「積極的平和主義」が米国の世界戦略と齟齬を来しているだけでなく、東アジアを不安定化させている点を鋭く指摘している。そして、持続的で安定的な安全保障構想を打ち出している。日本の安全保障の将来を考える上で、示唆に富む一冊である。
ユリヤ
岩波書店 2015年
遠藤誠治 責任編集
“安全保障のディレンマの克服から安定的な平和へ” ———p.309
本書は日本の安全保障を多面的に分析し、安全保障環境が激変する中で、日本がとるべき安全保障構想を唱えている。日米同盟の変遷や、米国の世界戦略と「積極的平和主義」との相互関係等を詳らかにした上で、「積極的平和主義」が米国の世界戦略と齟齬を来しているだけでなく、東アジアを不安定化させている点を鋭く指摘している。そして、持続的で安定的な安全保障構想を打ち出している。日本の安全保障の将来を考える上で、示唆に富む一冊である。
ユリヤ
“もともと総統は単なる首相であった。もちろん彼はそれまでの誰よりも冷酷で、かつ 1933 年の全権委任法によってずっと強大な権力を持つようになった...”
「ナチスの手口に学べ」と、ある時この国の副総理は言った。世界一民主的な憲法だと言われたワイマール憲法がある日気づいたらナチス憲法に変わっていた、その手口を学べと。そしてその新しい憲法草案には、1933 年の全権委任法と同じく内閣に立法出来る権利を持たせる、国家緊急権が定められている。単なる首相 が「総統」に変わってしまう前に私たちこそが、「ナチスの手口」 を学ぼう。きっとこの第一級の研究書は、ナチスと同時代を生きた著者から渡された本だ。歴史を繰り返さないために。
平葉