“ブラック企業問題は、一過性の問題ではなく、 日本の企業社会の一部が変質し始めているという問題だ”——— p.158
今や日本社会全体に普及した「ブラック企業」。それはなぜ、いかにして生み出され、はびこるのか。前半には具体的な現場の労働相談の生々しい事例を交えながらその「戦略」 が解説され、後半では社会全体が「ブラック化」している様が明らかになる。本書から私たちが学ぶべきは、日本の労働世界と「成長物語」の本質的転換が急務であり、それは働く者一人一人にかかっているということだ。民主主義の種は、 今も私たちが働く「足元」に眠り続けている。
OCI
BOOK'S SELECTION
被抑圧者の教育学
パウロ・フレイレ 著; 三砂ちづる 訳
亜紀書房
2011年
“抑圧者、被抑圧者、双方の人間性を回復しようとするとき、その闘いは意味をもつ。” ——— p.23
第三世界で識字教育を行ったパウロ・フレイレの代表作で ある。生活保障の分野で 1 冊と言われ、まずこの本を思い浮かべた。 1968 年初版の本書における被抑圧・抑圧の関係は、 現代を生きる私たちにあまりに身近だ。社会制度に変革が求められるとき、私たちはこの社会の抑圧者として、あるいは被抑圧者としてどのように現実を告発する言語・思考を獲得すべきか。いずれにせよ、それは果てしない人間化のための 闘いであり、本書はその指南書である。
大澤 茉実
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