“貧困は自己責任ではない。貧困は、社会と政治に対する問いかけである。”——— p.220
貧困は、自己責任という言葉で語ることのできない問題で ある。自由に未来を選択できる状況の中で、自分の選択に対 して責任を持つことは当然だ。しかし、貧困は違う。誰が望 んで進学をあきらめるだろうか。誰が望んで奨学金を借りる だろうか。生活困窮者支援の現場で戦ってきた著者は、この 国に広がる貧困問題の原因を統計と経験から論じ、政府がしばしば口にする自己責任論を丁寧に論駁する。貧困問題を一 から学び、具体的な解決策を知るための一冊。
ともか
BOOK'S SELECTION
生のあやうさ — 哀悼と暴力の政治学
ジュディス・バトラー 著; 本橋哲也 訳
以文社
2007年
“こうして人間が生まれていくのだ。何度も何度も、それがいったいどんな存在なのかを私たちはいまだ知りえないとしても。” ——— p.95
9.11と「テロとの戦い」以後、人命は悲嘆すべき死と価値のない死に振り分けられた。国家は哀悼を占有し、痛みを絶やすためにと、実際には暴力を増やしていく。そうすれば可傷性も否定した「自律的な主体」が保存されるかのように。しかし引き裂かれた私たちは、喪失の体験を共有することで人間へと帰り、出会い、別の未来に届く。台無しにしあうことさえ私たちの可能性なのだ。自主検閲と反知性主義に抗い、生への感覚を取り戻すための書。
うめてん
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