“光が強ければ強いほど影の色が濃くなるように、 日米安保の黒い影は、沖縄の米軍基地の周囲で大きく広がっている。”——— p.27
戦後、特に1972年に日本国憲法が適用されてから、沖縄は 「日本国民」に問い続けている。平和的生存権、所有権、環境権、思想・良心・宗教の自由、学問の自由、地方自治…… これら憲法に書かれている文言を。本書は沖縄の現実と日本国憲法との狭間を照射し、そのズレを浮き彫りにする。それは沖縄だけに留まらない普遍性を持つ。歪みながら癒着する 「憲法体系」と「安保法体系」。この二つの法体系を持つ国 に生きる者が、現実を直視し応えるための一冊。
元山仁士郎
BOOK'S SELECTION
日米安保と自衛隊
遠藤誠治 責任編集
岩波書店
2015年
“安全保障のディレンマの克服から安定的な平和へ” ——— p.309
本書は日本の安全保障を多面的に分析し、安全保障環境が激変する中で、日本がとるべき安全保障構想を唱えている。日米同盟の変遷や、米国の世界戦略と「積極的平和主義」との相互関係等を詳らかにした上で、「積極的平和主義」が米国の世界戦略と齟齬を来しているだけでなく、東アジアを不安定化させている点を鋭く指摘している。そして、持続的で安定的な安全保障構想を打ち出している。日本の安全保障の将来を考える上で、示唆に富む一冊である。
ユリヤ
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