“言葉を無意味化することによって、 権力は無限に暴走できるようになる。”——— p.214
2015年、「積極的平和主義」「存立危機事態」「重要影 響事態」等、これらの言葉が政治の世界に渦巻き、それに呼応した市民から多くの懸念の声が上がった。なぜなら、これらの言葉が従来の用法や明確な限界を持ち得ず、時の権力によって拡大適用される恐れがあるからである。 その時流に沿って書かれた本書は、現政権の「何が問題なのか」を多岐に渡って検証しているため、今一度現状を確認するのに格好の作りとなっている。
KBTK
BOOK'S SELECTION
本当の戦争の話をしよう — 世界の「対立」を仕切る
伊勢﨑賢治 著
朝日出版社
2015年
“日本の援助は、警戒感を与えず「誠意」として根付いている。9条のおかげかどうか知らないけど、日本の人畜無害性みたいなもの、それをもう少しポジティブに利用できないかな” ——— p.340
伊勢﨑賢治さんは国連の職員として、紛争処理や武装解除に当たっていたという経験を持つ。この本ではそんな著者の経験 から、どのように武装解除や紛争処理はなされるのか、実際の状況はどのようなものか、国連やアメリカの現場での本音などがつまびらかに、平易な言葉で語られている。またその上で、 九条を保持し、唯一の被爆国である日本だからこそできる国際貢献の形が示されている。高校生に対しての講義録であるため 読みやすく、幅広い視点をも含んだ実の詰まった良著。
幸子
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