“ 他者と彼/彼女によって生きられる「世界」は ユニーク(他にないもの)であり、その「世界」は私たちが共有する世界から失われてはならない。” ——— p.119
「自由である」とはどういうことなのか。本書は、自由を個人 的な問題ではなく、他者との<間>にある問題だと位置づける。 まず近代における自由の議論から遡り、現代において自由がどう論じられているのかを説く。そして、自由と安全、自由と公共性など、現代において衝突、混合する概念を検証する。末尾には基本文献の紹介もあり、あなたが掘り下げたいことを深め る用意もできている。名ばかりの「自由」がはびこるこの社会 で、自由について改めて考えるための一冊。
元山仁士郎
BOOK'S SELECTION
人間の条件
ハンナ・アレント 著 ; 志水速雄 訳
ちくま学芸文
1994年
“そこで私が企てているのは大変単純なことである。すなわち、それは私たちが行っていることを考える以上のものではない。” ——— p.16
アレントは“thoughtlessness”(思考欠如)こそ現代の特徴だと言う。われわれはいったいなにもので、いつ、どこで、なにをしているのかを知らないし、知ろうともしない。知りたくもないから。だからわれわれは、知らない間に、なにか最悪のことに手を貸してしまっているのかもしれない。このような思考の欠如は何を生んだか。アイヒマンを、アウシュヴィツを、大量虐殺を生んだ。自らを知ろうとすることは、哲学は、役に立たないのか? 否、それは最悪の事態を回避するのに役立つのだ。
UCD
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