“具体的な権利は抽象的な法から生命と力を受け取るだけでなく、抽象的な法にそのお返しをするのである。”——— p.80
個人的に「権利」は、「法律によって決められた抽象的なルール」というイメージだった。実体のない、空っぽな理念 だと。本書を読んだ。その実体なき権利感覚は、自分の生活 が侵害されて、ようやく身体に刻まれるのだと。他者の不当な介入への怒り、苦しみの感情がその兆候であると。そして、 理念は市民が現状を認識しようとする意思から初めて生まれるのだと。空虚な「権利」という言葉に価値を与えるのは、 紛れもなく当の僕自身だったのだと学んだ。
Dai
BOOK'S SELECTION
戦争は女の顔をしていない
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 著; 三浦みどり 訳
岩波現代文庫
2016年
“伝えなければ。世界のどこかにあたしたちの悲鳴が残されなければ。” ——— p.480
第二次世界大戦時、ソ連では百万人を超える女性が従軍し、 後方部隊のみならず兵士として武器を手に闘った。しかし戦後、彼女たちは黙秘した。理屈や祖国の英雄的歴史として戦 争を語る男たちと違い、女たちは個人的で内的な体験や記憶として戦争を語る。そしてそれは、聞くに値しないものとさ れてきた。著者は、女たちの語る生の声を術として、戦争の暗闇の中に人間の本性を掴みとり、突きつけた。2015 年、 その仕事はノーベル文学賞を与えられた。
かりん
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