“二〇年以上前に「政治の自由化」として始まっ た新右派転換が、いつしか今日の「反自由の政治」 をもたらしたプロセスを解明することが本書の ねらいである。”——— p.26
憲法が蔑ろにされ、人々の生活が脅かされ、政府は民主的なプロセスを行使することさえ放棄している。2015年の夏何度も思った、「一体この国で何が起こっているのか」。本書はそのような問いに応えうるものの一つといえるだろう。 ここでは、この国の政治がかつて標榜した「政治の自由化」が、現在行われている「反自由の政治」を生み出してしまっ た経緯について、丹念に眺められている。絶望的なこの社会 のオルタナティブを考えるうえで、必読の書。
信和
BOOK'S SELECTION
[新訳・評注]歴史の概念について
ヴァルター・ベンヤミン 著; 鹿島徹 訳・評注
未來社
2015年
“わたしたちにはかすかなメシア的な力が付与されていることになる。過去はこの力が発揮されることを要求しているのだ。” ——— p.46
ナチスに追われ亡命していたその危機の中で、「歴史」につい て書き残されたこの著作を戦後71年目のこの国でいま、この時 に読むこと。それは現在の時が危機にある時には「過去」もまた 危機にあり、そしてそれを救うことが出来るのもまた「いま」に いる「わたしたち」だと、気づかせてくれることだ。「歴史修正主義」 と言われる政治状況に対して、わたしたちは過去に、歴史に対し てどう向き合って行くべきなのか。その強いヒントをこの一冊は、 素晴らしい、真摯な訳と共に与えてくれる。
平葉
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