“二〇年以上前に「政治の自由化」として始まっ た新右派転換が、いつしか今日の「反自由の政治」 をもたらしたプロセスを解明することが本書の ねらいである。”——— p.26
憲法が蔑ろにされ、人々の生活が脅かされ、政府は民主的なプロセスを行使することさえ放棄している。2015年の夏何度も思った、「一体この国で何が起こっているのか」。本書はそのような問いに応えうるものの一つといえるだろう。 ここでは、この国の政治がかつて標榜した「政治の自由化」が、現在行われている「反自由の政治」を生み出してしまっ た経緯について、丹念に眺められている。絶望的なこの社会 のオルタナティブを考えるうえで、必読の書。
信和
BOOK'S SELECTION
「存在の現れ」の政治 — 水俣病という思想
栗原彬 著
以文社
2005年
“加害と被害の溶融という新しい地平から、人間であることに対する深い問いが生まれてきます。” ——— p.30
水俣の運動史から「存在」が現れ「新しい人間像」が浮かび上がる。 中央と周辺に分かれた人々は、それぞれの立場からの視点で生を捉えようとする。 視線が交差するグレイゾーンで踏みとどまると、お互いに一方的なこの視線が溶け合うような生が表れる。 他者を支配する権力位置を離脱して、あるがままの人間として肩を並べて加害と被害のグレイゾーンを突破していく。 オキナワ・フクシマにも通ずる“まなざし”をこの本から養いたい。
みつ
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