“マジョリティーを動員しようとする気負いと自信が生じた途端に、その緊張感と距離感がなくなり、実は安倍は、次の一手を見失うのではないか。”——— p.54
本書は、安倍晋三や菅義偉、石破茂から岡田克也など、 「災後」という時代状況を生きる政治家たち25人に注目し た評論である。 著者はオーラル・ヒストリーの第一人者として名高く、そ の筆さばきはもちろん、文章の一つひとつを見れば、同時代 を生きる政治家を語ることの難しさがひしひしと伝わってく る。彼らもまた「人」なのだ。我々の政治を見る「眼力」を より複雑に、的確にしてくれる一冊。
古谷
BOOK'S SELECTION
憲法9条の思想水脈
山室信一 著
朝日選書
2007年
“夢想であると嘲られ、蔑まれた議論が「現実」の問題点を明らかにし、「現実」の立っている基盤がはらむ問題点を掘り出してきたのではなかったろうか。” ——— pp.97-98
いくつもの流れを捉え、線として9条を見る。9条に現れている平和思想は戦後に生まれたポッと出の理想なんかではない。いくつもの思想と運動と戦争で失われた命への反省のなかから、具現化された結晶なのだ。そういった思想がとてももろいことを歴史が証明していることに気付くのと同時に、 その思想の緻密さとそれを育んだ人々の努力にも気付く。そしてまた問われる。どのように私たちがこの思想を発展させ、 後に生きる人に引き継ぐのか。
いたる
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