“大衆運動のゆきすぎというものがもしあるとす れば、それを是正していく道はどういう道か。それは大衆をもっと大衆運動に習熟させる以外にない。”——— p.102
「戦後民主主義」とか何とか言われるけれど、少なくとも今の政治状況を考えるのならば、避けては通れない偉人が少なくと も一人はいる。丸山眞男。戦後の政治学をリードし、「夜店」 のなかで人々の政治的判断を説き、何より彼は日本政治思想史 のクラシックであった。 あれから71年が経ったけど、まだ何も古びちゃいない。日本 の思想に寄り添い、彼は民主主義を日本語で語った。民主主義 を私たちのものにする、そのための第一歩として。
SOB
BOOK'S SELECTION
物騒なフィクション — 起源の分有をめぐって
フェティ・ベンスラマ著; 西谷修訳・解説
筑摩書房
1994年
“そこかしこで人はこぞって声を張り上げた。だって、たかがフィクションではないか、と。” ——— p.34
チュニジア出身の精神科医で、現在パリⅦ大学教授の著者によってこの本が書かれたのは1994年。しかし2016年の今、ここに記された問題は一切古くなっていない。単なる「文学的フィクション」や「表現の自由」がなぜイスラームと衝突するのか。「西洋VSイスラーム」という単純な図式ではなく、両者が拠って立つ「テクスト」という概念に着目して描かれるこの本は、シャルリ・エブドを嚆矢とする「テロ」事件、そして「原理主義」そのものを考えるために今こそ復刊され、読まれるべき本だ。
JGJ
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